小市民は一大決心をする
現代ダンジョン物を以前から書きたいと思ってみました。
万が一お便りがあっても、返事が書けません。
「やっとダンジョンに潜れるか。」
村田勇次郎44歳、独身、DT、(つまり俺の事だが)は、ブルーシートで隠してある『もの』の前で、独り言を、つぶやいた。
1か月前、そこに突然現れた『もの』を知っているのは、口が堅くて信用できる同居している母と、他所で所帯を持っている兄夫婦の4名だけ。
農機具・トラクターのような農機械が、置いてある2階建ての物置と、裏山の間にある、1辺5メートル立方体の岩に、あきらかに不自然な、幅1メートル高さ2メートル程の入り口に、学校の体育館程の内部空間、その中心にある地下へと続く階段。
2か月前、世界各地に出現した、テレビのニュースやワイドショーで、見たことがある謎の建築物。
『ダンジョン』
世界中の鉱山から、新しく鉱物資源が、採掘する事が出来なくなり、その代わりに出現した『ダンジョン』、その中に現れる『魔物』を倒して現れる『ドロップアイテム』から、鉱物資源・未知のアイテムを、獲得できる。
しかしダンジョン内部は、地上とは異なる法則があり、魔物を倒すには、弓矢・投げナイフ・銃・火器類などの武器では、かすり傷一つ着けることは出来ない。倒すのには、剣・槍・棍棒のように、手で持って力を込めてダメージを与えるか、攻撃用のドロップアイテムを使用するか、ドロップアイテムで現れるスクロール(巻物)から、それぞれ個人が適正のある魔法を使用して、ダメージを与えて倒すしか方法がない。
世界経済が混乱するなかで、一介の小市民の俺が、どうこう出来るわけではないが、俺は己自身の経済状況を良くするために、一大決心を決めるのだった。