お人形
超短編小説です。あまり深くは考えずにお読みください。
五日前よ、
この人形が現れたのは
大袈裟な表現じゃないのよ。
貰ったわけでもないし、送られてきたわけでもないの。
その日はちょうど満月の日だったかしら
ちょっと仕事が長引いて、クタクタになりながら帰って来たら置いてあるんですもの。
ちょうどそこのタンスの上に。
ビックリしたわ。
最初は空き巣かなんかが入ったんじゃないかと思って調べてみたんだけど、何も取られた形跡はないし、部屋も全く荒らされていないし、ただ、この人形が置かれていただけなの。
気味悪いわよね。
ほら、見るからに不気味な容姿だし、いきなり部屋に置いてあるなんて。
捨てたわよ、そりゃあ
高そうなお人形さんだけど、やっぱり、ね……
目とかほら、じっと見られている感じがして嫌でしょ
それに白い肌とか、長い黒髪とか、不気味なのよ。
近くのゴミ捨て場よ。
でも、確かに捨てたわ。
確かに。
なのに
次の日に、また同じ場所に戻ってきているの。
それはもう気味が悪いとかじゃなくて、怖かったわよ
考えられる?
場所も一センチのずれもなく、元の場所に戻ってきてるいのよ。
なんだかもう、触るのも嫌になっちゃったわよ。
もちろん寝られるはず無いじゃない。
丁度の位置にあるのよ、ベッドで寝そべるところから、丁度目が合っちゃうの。
寝られないからその日は近くのホテルに泊まったのよ。
まるで立場が逆ね
私が人形を家から追い出したら、今度は私が家から追い出されちゃったみたいね。
次の日は家に帰ったわ。
もちろんまだ人形はあったけど。
そこでね、私思いついたのよ。
燃やしちゃえばいいじゃない、て。
そしてすぐ様燃やしたわ。で、どうなったと思う?
なんと家まで燃えちゃったのよ。
火の不処理でね。
もうここまできたら、笑えてくるわよね。
しかもお人形自体はまた綺麗になって戻ってくるんですもの。
だからもう憎くなったから、ズタズタに引き裂いてやったわ。
どうせまた元に戻ることは分かっていたけど、それくらい憎かったのよ。
そのあと私はどうなったと思う?
死んだわ。ズタズタに引き裂いて。
え?それじゃあ私は誰かって?
お人形よ