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俺の異世界姉妹が自重しない!  作者: 緋色の雨
第三章 平和な学園生活を送ろう

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エピソード 2ー5 俺の義妹(ソフィア)が自重しない――はずがない!

 リズに協力すると決めた翌日。俺はアリス達と食堂で昼食を食べていた。

 ちなみにアリス達というのは、アリスとソフィア。それにアカネともう一人、エイミーという女の子だ。

 エイミーはアカネの知り合いだったので、アカネ経由で友達になったんだけど、あのウェルズの洋服店の娘だそうだ。

 世の中広いようで狭い――なんて、ミューレ学園に来た商人の子供なんかの大半はウェルズさんの紹介って話だし、ただの必然かも知れない。


 ともあれ、うららかな午後。俺達は和気あいあいと昼食を食べていた。

「それでにーさん、昨日リズちゃんには告白されたんか?」

「――ぶっ」

 アカネの奴、さらっと爆弾を落としやがった。そして当然と言えば当然のように、アリスやソフィアの視線が鋭くなる。

「私、その話、詳しく聞きたいなぁ~?」

「ソフィアも、詳しく聞きたいなぁ~?」

 ほらぁっ! なんかすっごい食いついちゃったじゃん。後で覚えとけよと、俺はアカネを一睨み。どうやって説明するかと考える。


 そうだな。みんなの前でクレアねぇの名前を出す訳にはいかないから、アリスとソフィアに詳しい話をするのは後になるけど……アカネ達に変な想像をさせないためにも、リズに協力することになった経緯は軽く話しておくべきだろう。

 そうなると……


「昨日リズに話があるって呼び出されたんだよ。でも、告白なんて色気のある話じゃなくて、選択授業の科目選びに付き合って欲しいって言われただけだよ」

 ちなみに選択授業って言うのは、後から出来た制度だ。

 初めは農業が中心だったけど、今は色んな技術を教えてる。なので自分でどの技術を学ぶか選択出来るようにしたのだ。


「ふぅん。それでリオは、今日からリズさんと一緒に行動するんだ?」

 そう言ったのはアリス。どことなく不満げに見えるのはきっと気のせいじゃないだろう。一緒の学園生活を送るって言ってから、まだ十日足らずだもんなぁ。

 後で事情を話すのは当然として、出来るだけアリスたちとの時間も取るようにしよう。


「良かったら、みんなも一緒に選択授業を見て回るか? リズにどんな適性があるか判らないから、取り敢えず全部体験する予定なんだけど」

 ――と、一番ついてきそうなソフィアに視線を向ける。


「ごめん、リオお兄ちゃん。ソフィアとアリスお姉ちゃんはもうなにを選択するか決めてるんだぁ」

「あぁそうなんだ。ちなみに……なにを選択したんだ?」

「ソフィアがお料理で、アリスお姉ちゃんが服飾だよぉ~」

「服飾と料理……」

 どっちも二人の得意分野じゃないか。得意分野を伸ばすのは別に良いんだけど、今の先生ってたしか、二人の教え子だったような? ……先生がテンパらなきゃ良いけど。


「へぇアリスさんは服飾を選択するんですね。実は私も服飾を選ぶつもりなんです。良かったら、一緒に行きませんか?」

 そう言ったのはエイミーだ。ウェルズ洋服店の娘として、実家のために一生懸命なのだろう。その言葉の端々からやる気が感じられる。

「うん。もちろんだよ、エイミー。それじゃ今日の午後から一緒に行ってみようよ」

 楽しげにアリスがお喋りしている。普通の学生、普通の女の子としてのひととき。それだけでも、アリスが学園に通えるように手配して良かったって思える。

 そんな風に考えながら見守っていると、エイミーがアリスに話し掛けた。


「エイミーが服飾なんは予想通りやけど、アリスさんは服飾が得意なんか?」

「え? そうだねぇ……ちょっとだけ?」

 嘘を吐け、嘘をと心の中で突っ込まずにはいられない。この世界では間違いなく最先端をひた走る、アリスブランドの創設者だぞ。

 エイミーはその技術を学ぶためにこの学園に来てるのに、それをちょっとって……エイミーが自信喪失したらどうするんだよ。


「んで、ソフィアちゃんは料理なんやね。得意なんか?」

「ソフィアはお菓子を作るのが好きなんだぁ。アカネさんが食べてるミルクレープはソフィアが作ったんだよ?」

「「――えっ!?」」

 想像もしてなかったのだろう。アカネとエイミーが驚きの声を上げた。と言うか、ソフィアの方はあっさりバラしちゃうのな。


「はぁ、さすが学園の魔女やね」

 アカネがおもむろに呟いた。なにそれと尋ねると、ソフィアが影でそう呼ばれてるって答えが返ってくる。

 学園設立当初からずっと学園に通ってるから、学園の(ぬし)とかなら判るけど……

「なんで魔女?」

「さぁ……うちも人から聞いただけやから」

「そっか。うぅん……心当たりはないのか?」

 後半はソフィアに向かって尋ねる。


「ん~ソフィアの勘が良いからかなぁ?」

「……勘? あぁ……」

 恩恵のことだろう。確かにずばずば考えてることを当てられたら、そう言う異名がついてもおかしくはない。って思ったんだけど、ソフィアは「それとも――」と続けた。


「秘密の部活を作ったからかなぁ?」

「秘密の部活……って、なんだ?」

「それは、お兄ちゃんの――リオお兄ちゃんには秘密」

 なん、だと。ソフィアが俺に秘密……?

 いや、落ち着け。落ち着け俺! ソフィアだって年頃の女の子。秘密の一つや二つくらい――あっても気になる!?


「ソ、ソソソフィア。そこをなんとか教えてくれないか?」

「やだ」

「じゃ、じゃあ、ヒントだけでも!」

「リオお兄ちゃん、しつこいよ」

「――がはっ!?」

 ま、まままさかソフィアにしつこいって言われるなんて。反抗期? これが反抗期なのか? いい、いや、それとも単純に俺が根掘り葉掘り聞いたせい?

 ……生まれ変わって、今度こそ幸せな人生をって思ったけど……どうやら俺はどこかで選択を間違えたらしい。

 あぁ、俺は何処で道を間違ってしまったんだろう……


「もぅ……仕方ないなぁ」

 窓の外に広がる空を見上げていると、ソフィアが俺の耳元に口を近づけてきた。

「ソフィア?」

「あのね。お兄ちゃんだから秘密なの。他の誰でもない、お兄ちゃんだから、だよ?」

「それって……」

 俺を避けてるんじゃなくて、俺に関する部活だからなのかと、声には出さずに尋ねる。

「それ以上は恥ずかしいから、秘密、だよ?」


 ――俺は復活した。

 いやぁ、そうだよな。俺がソフィアに避けられるはずないもんな。うんうん、判ってた。判ってたって。

 なんて、そろそろ自重しよう。いや別に、ソフィアに本当に嫌われるかもとか心配してる訳じゃなくて。このあとは、リズと一緒に選択授業を回らなきゃだからな。


 でも……結局、ソフィアの部活ってなんだったんだろうな?

 それが原因で学園の魔女とか呼ばれてるなら、結構な内容な気がするんだけど……まぁ大丈夫か。ああ見えて、ちゃんと良識のある女の子だからな。

 ソフィアならちゃんと自重してくれてるはずだ。

 

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