クレアリディルの登場人物纏め! 【第五章の部】
さてさて、毎度おなじみとなった人物紹介も五回目。ここではあたし――クレアリディルが五章で登場したキャラクターの紹介や、裏話なんかを紹介していくわ。
ネタバレなんかもあるから、五章をまだ読んでない人は注意が必要よ。
『リオン・グランシェス』 前世の名前:『雨宮 裕弥』
最初に紹介するのはもちろん、あたしの弟くん――であり、婚約者!
グランシェス家の中庭で出会ってから十年と半分。ついにあたしはやりとげたわ!
もっとも、あんな強引な告白をされるとは思わなかったけどね。
最初は驚いたけど……あたしが子供の頃に言った他愛もない我が侭を覚えてくれていたことは、凄く、凄く嬉しかった。だから、あたしにとっては最高の告白だったわ。
『アリスティア』 前世の名前:『雨宮 紗弥』
私の親友で、リオンの前世の妹ね。
あたし達と違って、アリスには日本という国の倫理観があるわ。
日本では近親婚や重婚が禁止されていると聞いたときから心配してたんだけど……今回の一件、アリスが協力してくれてとても心強かったわ。
もしかしてタブーだって言うのは建前で、実際には日本という国でも、近親婚や重婚が流行だったりするのかしらね?
『クレアリディル・グランシェス』
弟くんの婚約者――つまりはあたしのことよ。
今回は……本当に根回しが大変だったわ。なにしろ対象が、ミューレの街のみんなや、グランプ侯爵様。それにリゼルヘイム王家の人々だったからね。
ノエル姫殿下から話を聞いたときは、絶対に実現不可能だと思ったわ。
でも幸いにして、みんながあたしに味方をしてくれた。これもあたしの普段の行いのおかげだって言いたいけど……そうじゃないわね。
みんなが了承してくれたのは、弟くんのため。
ソフィアちゃんが、たとえリオンお兄ちゃんに嫌われたとしても、今回はクレアお姉ちゃんの味方をする――みたいなことを言ってたでしょ? あのセリフには、それがリオンお兄ちゃんのためだって信じてるから――なんて感じの想いが込められているわ。
つまり、弟くんが自分の気持ちに気づいてあたしと結ばれる。それが弟くんにとっての幸せであり、望みだって分かってるから、みんなはあたしに味方をしてくれた訳ね。
そして弟くんも、みんなが自分のために行動していることだけは疑っていなかった。だから嘘をつかれていたのだと知ったときも、弟くんは特に怒らなかった。
それが、自分のための嘘だって気がついたから、ね。
それと、誤解があるかも知れないから言っておくけど、レリック領での一件は偶然よ。
もっとも、ノエル姫殿下の派閥が焦っていたことが原因だから、タイミングが重なったことまで偶然、とは言えないけどね。
そしてアヤシ村での一件があのタイミングで起きたのも偶然よ。
あたし達は単純に、ノエル姫殿下の派閥が暴走して、嫌がらせをしている程度に思っていたわ。だから予定通り計画を実行したんだけど……アヤシ村での顛末を聞いたときは、すぐにでも弟くんのもとへ駆けつけたい思いだったわ。
『ソフィア・スフィール』
最近は戦闘民族として目覚め始めたソフィアちゃん。誰かがイラストを見て可愛いライオンとか言ってたけど、まさにそんな感じね。
対多数戦闘においてはアリスに軍配が上がるけど、一対一の戦闘ならソフィアちゃんの右に出る者はいないそうよ。
ちなみにそんなソフィアちゃんだけど、過去のトラウマを乗り越え、いまではすっかりお母さんと仲良しに。結構な頻度で、馬に乗ってお見舞いに行っているのよ。
思い出したように飛んでいくから、エルザがせめて事前に教えて欲しいって嘆いていたわ。
『ミリィ』
リオンのお母さんで、あたしの義理のお母さんになる予定の人よ。
三十路に突入しているのだけど、いまだ少女のような若々しさを保っているわ。実はエルフの血でも混じってるんじゃないかしら? ってくらい若々しいわね。
そんな彼女は、相変わらずリオンの世話係をしてるわ。弟くんを見ていると、お世話してあげたい気持ちが抑えられないのはよく分かるけどね。
『ミシェル』
あたしの育ての親のような存在なんだけど……今回、あたしより三つも年下の男の子と結ばれた事実が発覚したわ。
おめでとうと言いつつ、自分よりも年下の男の子が、ミシェルの恋人ってなんだか複雑ねって言ったら、実の弟を口説き落とした貴方がなにを言ってるの? だって。
言われてみたらその通り過ぎて納得しそうになったけど……無垢だったあたしに近親婚が流行だなんて嘘を教えたのはミシェル、あなただからね?
『ティナ』
ミシェルの妹で、あたしの右腕ね。
今回も、あたしの右腕と言うにふさわしい働きをしてくれたわね。動揺して泣いてるように見せかけるために、ずぶ濡れになったのは少しあからさま過ぎな気がしないでもないけどね。
ちなみにあれ、弟くんが帰ってくるのを確認してからお湯を被ったのよ。
『リアナ』
ミューレ学園で教師をする女の子。優しくて教え上手で可愛らしい。生徒にもてまくりなんだけど……今回の一件で、大半の男子は轟沈しちゃったわね。
と言うか、本当に頑張っていたわね。
あたしとしては、リアナ達にも報われて欲しいんだけど……弟くんがそれを望んでないから、少し複雑な気分よ。
『カイル』
レジック村の村長で、リアナのお父さん。酔っ払ってはしゃいでたけど、様々なプレッシャーでストレスをためていたからよ。
ミューレの街は平和で豊かになったとは言え、衛星の村はまだまだということね。みんなが幸せに暮らせるように、あたし達ももっと頑張らないといけないわね。
『エルザ』
弟くんの護衛を担当する騎士。フラグを立てる危険性を理解した彼女は今回、フラグを立てないように大人しくしていたんだけど……結果は変わらずね。
と言うか、弟くんが事件に巻き込まれ過ぎなんじゃないかしら? 毎回なにかトラブルに巻き込まれてるわよね。
『カリーナ』
ミューレ学園を卒業した技術屋のお姉さん。今となっては、アヤシ村の住人の中で、生存が確認されている唯一の存在となってしまったわね。
はい。なんだか妙な言い回しだと思ったそこのあなた、正解よ。と言っても、伏線と呼べるような大げさな話じゃないけどね。
アヤシ村が滅びる原因となった弟くんの政策。あたしは……間違ってはいなかったと思っているわ。でもそれとは別に、彼女には申し訳ないことをしたとも思ってる。
悲劇は繰り返さないようにしないといけないわね。
『ジェイ』
カリーナの部下ね。
地方の領地から出てきた技術屋だけど、ミューレ学園の卒業生ではないわ。
悪い人ではないんだけど、実はカリーナに惚れていて、カリーナに慕われている弟くんに嫉妬していたとかいないとか。
『ミゲル』
アヤシ村の村長を語る偽物。素性は不明だったけど……エピローグで、あの事件にザッカニア帝国が関わっていることが明らかになったわね。
つまり彼の出身は……ご想像の通りよ。
それと彼がソフィアちゃんの恩恵を知っていたそぶりだったけど、それは彼の周辺に似たような恩恵を持つ人間がいたからね。その人物は六章で登場するわ。
『エリーゼ』
ソフィアちゃんのお母さんね。
四章で中毒症状に陥っていたけど、いまではだいぶ回復しているそうよ。さすがに……歩き回ったりは出来ないみたいだけどね。
なお、ソフィアちゃんとの仲は良好。このあいだソフィアちゃんが、お母さんにおかゆを作ってあげたんだぁとかはしゃいでたわ。
あたし達にとっては因縁の相手だけど……ソフィアちゃんが幸せそうだから良いわ。
『ソフィアの実のお姉ちゃん』
誰それと思ったそこの貴方、実はあたしも知らないわ。
ただ、作者が書籍化された一巻を読み返していて、ソフィアちゃんが次女と表記されていることに気がついたの。ちなみにこれ、web版でも同じよ。
なので、ソフィアちゃんのお姉ちゃんはどこかに存在しているわ。
既に死んでいるのか、はたまたどこかに嫁いだ後なのか……作者が存在してる方が面白そうだって言ってたから、いつかどこかで登場するかも知れないわね。
『クレイン・グランプ』
グランプ侯爵家の当主。今回はあたし達の計画に参加してくれた共犯者よ。
鉄道馬車の件で飛んできて、ついでにノエル姫殿下のことを話した――と、弟くんは思ったはずだけど、そもそもはノエル姫殿下のことをほのめかすためにやってきたのよ。
『マヤ・グランプ』
マヤちゃん。新たなシスターズのメンバーよ。あくまでシスターズであって、弟くんの義妹になった訳じゃないから、そこのところは誤解しないでね。
基本的に引っ込み思案なんだけど……衣装によって性格が変わるらしいわよ。
『トレバー・レリック』
レリック子爵家の次男。ミューレ学園を卒業した優秀な人間なんだけど、弟くんと同じような理由で、家では肩身の狭い思いをしていたみたいよ。今回の一件で少しだけ環境が改善されたから、弟くんと同じ悲劇を繰り返すことはないでしょうけどね。
『メイソン・レリック』
レリック子爵家の当主。
ノエル姫殿下派で、最近はアルベルト殿下派の貴族に辛酸を舐めさせられていたの。それが原因で、弟くんがお飾り当主で、自分達がないがしろにされていると誤解したのよ。
そう言った事件が起き始めていたから、ノエル姫殿下があの計画を立てたとも言えるわね。
『ネイサン・レリック』
レリック子爵家の長男で、あたしをお嫁さんにしようと考えていたらしいわね。
まあ……夢を見るのは自由よね。
『エミィ・レリック』
最初はエミールと言う名前だったんだけど、それ男性の名前……というご指摘を頂いて、エミィと改名された経緯を持つレリック家の次女。
弟くんの義妹候補としてメイソンさんが紹介するつもりだったらしいんだけど……弟くんが即断ってたから、名前すら出てこなかったんじゃないかしら?
『ギリアム』
レリック領、鉱山の現場監督ね。
トレバーにとっては、レリック領での数少ない理解者の一人よ。弟くんにとっての、ミリィさんみたいなものかしらね。
『リーゼロッテ・フォン・リゼルヘイム』
リゼルヘイムの王族でありながら、唯一なにも知らなかった愛すべきどじっ娘よ。
うっかりでリオンの秘密をアカネにばらしてしまったことから、同じケースを危惧したあたし達が、リズには秘密にした――なんて伏線に気づいた人は果たしてどれだけいるのかしら。
『アルベルト・フォン・リゼルヘイム』
共犯者その二ね。
今回の一件、可愛い妹のために一肌脱いだ感じよ。ようするに、彼が溺愛している妹は、リズだけじゃなかった――と言うことね。
『ブルトゥス・フォン・リゼルヘイム』
王位継承権第二位 第二王子。
今回は登場しなかった人物。当初は彼が黒幕で、お見合い会場で弟くんがそれを知って、ブルータスお前もか! って叫ぶオチを考えていたそうよ。
……正直、変更して良かったと思うわ。
『アドルフ・フォン・リゼルヘイム』
この国の王様よ。
弟くんは結局、国王陛下にご挨拶してないんだけど……たぶん同じネタを繰り返すことはないと思うから、物語の外で挨拶したとか言うことになるとあたしは予想しているわ。
『イザベラ・フォン・リゼルヘイム』
お茶目な王妃様。リズの育ての親であり、アルベルト殿下やノエル姫殿下のお母様ね。
ちなみに最初の設定では、物静かな王妃様だったの。だけど、クラリィの正体のヒントとして、めんどくさい性格になったそうよ。
ようするに、ノエル姫殿下とイザベラ様の性格が似ている可能性を示唆していたのね。だから「リズの親だからめんどくさい」と弟くんが言っていたのも、もちろん伏線よ。
『リスティア・フォン・リゼルヘイム』
いまはなき、リズのお母様で、イザベラ様の妹ね。
気づいた人がいるかも知れないけど……アドルフ国王は、姉妹に手を出しているわ。さすが弟くんが生まれ育ったリゼルヘイムの王様って感じよね。
『アカネ』
アカネ商会の代表で、あたしの共犯者ね。
ちなみに、アカネがあのタイミングで報酬の二重取りなんて言ったのは失言――なんかではなくわざと。あえて、いくつかの事実は弟くんに伝えるようにしてもらったの。
全てが分からない状態なら、弟くんはあたしが裏切るなんてありえないという理由だけで、真実にたどり着いてしまうかも知れないでしょ?
だからある程度の真実と嘘を交えることで逆に、あたしが黒幕だと筋が通らない。だから違うかも知れない――と、弟くんに思い込ませたって訳ね。
『マリー』
もと、弟くんの監視役を兼ねたメイドね。
最近は、リズのメイドをしたりと、幸せな人生を送っているわ。
『オーウェン・フルフラット侯爵』
グランプ侯爵様のライバル的存在で共犯者の一人ね。
もしシスターズとも婚約することになっていたら、彼が宣言することになっていたわ。
弟くんとしては一安心と言ったところだと思うけど、フルフラット侯爵様にとっては少し残念な結果かも知れないわね。
『クラリーチェ』
キャラ紹介の最後を飾るのは、ノエル姫殿下の筆頭侍女にして、ツンデレ金髪ツインテールの百合娘。果たしてその正体は……ノエル・フォン・リゼルヘイムその人よ。
彼女の正体に気がついていた人は一体どれくらいいるのかしらね。
ちなみに、彼女がノエルだと示唆する伏線は――
登場時に何故か名乗るのを渋った。
リズのことを気にかけている。
あたしがクラリィについて言及するセリフで言いよどんだ。
クラリィが、ノエル姫殿下の行動を自分のことのように誇っていた。
アリスブランドの最高級品を着ていた。そしてアルベルト殿下が三章で服を作らせていた。
グランプ侯爵様がノエル姫殿下とクラリィの話をした後、知らないのかと呆れた。
リズがノエル姫殿下をおちゃめな性格だと言っている。
王都へ向かうとき、クラリィが不自然に別行動したのはリズに会うとバレるから。
パーティー会場へ案内するとき、何故かドレスを身につけていた。
筆頭侍女というわりに、単独行動ばっかりしている。
知性を極めし者はMasterMind、つまりは黒幕。クラリィが再登場した4ー1のサブタイトルは知性を極めし者達なので、あの場にいた全員が黒幕という意味。
ほかにもあるはずだけど、おおむねこんなところね。数は多いけど、一つ一つはとても伏線と呼べるようなレベルじゃないわ。
事実を知ってから読み返したら分かるけど、種明かしまでに気づく人は現れないつもりで書いたそうよ。だからもし途中で気づいた人がいたら、誇っても良いと思うわ。
ちなみに、登場時に弟くんへの対応が柔らかくなったのは、
「……あら、意外ね。身分をわきまえろとか、言われると思ってたわ」
「クレアねぇと仲良くしてる相手に、身分がどうのとか言うつもりはないよ」
この会話の後だったでしょ?
これはノエル姫殿下が良くクラリィとして行動しているから。ノエル姫殿下として振る舞っているときと、メイドだと名乗ったときで周囲の態度がまったく違うことを知っているの。
だから、ただのメイドと名乗っても、態度を変えなかった弟くんを見直したのよ。
この辺のやりとりも、伏線と言えば、伏線なのかも知れないわね。
ちなみに筆頭侍女のクラリーチェが実在するかは今のところ未定ね。ただノエル姫殿下がクラリィというメイドに扮していることは、有力貴族なら知っている情報よ。
弟くんが知らなかったのは……あたしが教えなかったからね。
計画が始まってからは弟くんの耳に入らないようにしたけど、それまでに教えなかったのは、特に理由がある訳じゃないわ。
単純に、お姫様が偽名でうろうろしてるなんて話をあえてする機会がなかっただけね。
さて、五章のキャラ紹介は以上、続いて五章の裏話なんかを紹介するわね。
今回の展開は予想の斜め上を目指した――と作者が宣言していたわね。
予想というのは、あたしと弟くんがパーティー会場で結ばれること。そして斜め上部分は、更にソフィアちゃんやアリスとも婚約するという展開ね。
予想出来る展開をすぐに起こさずに複雑にして、予想する結末に対しての期待を高める――コンプリケーションと言う技法を参考にしているそうよ。
四章のキャラ紹介であたしが、次章は頑張ると宣言していたし、五章の導入でもみんながあたしと弟くんの話をしていたでしょ?
つまり、お見合いパーティーが嘘であり、あたしと弟くんが結ばれる――と言う展開は、みなが予想できるように描写されていたの。
だけど、後から出てくる情報の大半が、その予想しうる結末を否定する。直感だけで考えれば丸わかりなんだけど、情報を頼りに考えれば考えるほど分からなくなる。
――と言うのが五章のコンセプトよ。
ただ……使ってみた結果、なろうの投稿形式には不向きだって作者は思ったみたいね。
理由は一つ、投稿間隔によりリアルで時間が開くからよ。作品としては三十分ほど引っ張っただけなのに、リアルでは三週間くらい流れているわ。作中でさんざんじらしておいて、真実は――CMの後で! って展開をひたすら繰り返すようなものね。
それに、些細な伏線とか、何週間も覚えてる人はほとんどいないはずよ。だからそういう意味でも、連載形式には向いてなかったと思うわ。
だから、作者ももう使わない――もしくは、その点を考慮してアレンジすると思うわ。
だけどそんな逆境にも負けず、色々と考えた上でおおよその答えまでたどり着いた人達がいるようね。それに、読み返して伏線を探してくれた人もいたわ。
ありがとう、作者にかわってお礼を言うわ。
もちろん、楽しみながら読んでくれている人達にも感謝よ。
それじゃ、裏話はこの辺で。
続いて少しだけ、六章の紹介をするわね。
予想している人は多いと思うけど、次回は海の向こうにある大陸。ザッカニア帝国が主な舞台になるわ。と言ってもいつものごとく、最初はリゼルヘイムから始まるけどね。
そんな六章は五章と打って変わって、比較的シンプルな展開となっているわ。海の向こうで活躍する弟くんのお話、楽しんでもらえたら光栄よ。
あ、そうそう。海の向こうの大陸には、イヌミミ族が暮らしているそうよ。イヌミミと尻尾がモフモフしてて、すっごくモフりたい――って、弟くんが我を見失っていたわ。
それじゃ、また六章の終わりで会いましょう。
次話は五日を予定しています。
以降、五の倍数の日に投稿いたします。






