分かると怖い話
最近よく見ている動画の「ゆっくり分かると怖い話をしませんか」を見ている内に出来た話です。ホラーを書くのは初めてなので、怖いかは読者さんの理解にお任せします。
「あ~……お前が反省しているのならばいい。だが次はないぞ」
「はい。すいません……」
そう言って、俺は職員室を出た。
「はー……やっと終わった」
――今日は、珍しく遅刻したのだ。
俺の通っている学校は、俺の家からは電車に乗り継ぎ、更にそこから学校指定のバスに乗らないといけない程、遠い。
バスの時間は決まっている為、乗り過ごすと――とまぁ、1時間目どころか2時間目が始まる頃になってやっと来るバスに乗る事となり、必然的に遅刻してしまう。
学校のバス停では、定時にならないと運転手さんが来ないものの、バスがいつも止まっていて、先にバス内で待つと言う事も可能。それなのに、俺が学校に来るのに使う停車場所にはいつもバスが居る訳じゃない。止まっててくれれば、遅刻しないで済んだのに……。
と言う若干八つ当たり的な事を思いつつ、絶賛授業中の教室の扉を開ける。
途端教室内の視線が殺到して、俺は首を縮めつつ担当の先生に遅刻カードを渡して席に座った。
「おそよう。遅刻乙」
「おはよう……」
前の席の友人が、振り返る事無く小声で俺に言ってくる。
「どうした? いつもは早いお前が珍しいな」
「いや……なんでか今日は普通に家出て普通にいつもと同じ電車に乗ったんだけどさあ、なんでか電車のダイヤがずれてて、駅に着いたのが7時45分」
「あ~……確かお前が使ってる所の駅って、最終バス7時40分だったか?」
「ああ。その所為で乗り過ごして、1時間ほどバス停でボーッとしてた。……俺の所為じゃないのに、長々と説教受ける羽目になったんだよ。あー超眠い……しかも今日俺の腕時計壊れて1時間早くなってるっぽくて、それに気がついたのも30分以上経過した後だったって言う……」
「そりゃドンマイ」
一応今の授業の準備をしてから机に突っ伏す。
「寝てないのか?」
「ああ……実は3徹目」
「よく持つなぁ。……でも今日の授業寝てるとまたどやされる授業ばっかりだぞ?」
「うそぉん……ま、まぁラストの国総Aで寝るわ。若干頭痛いぜ――」
「こらそこ! 授業私語しない!」
「「はーい、すいません」」
2人して声を揃え唱和すると、教室が爆笑の嵐に包まれる。
その声の中、友人は眠くて目を擦る俺に、苦笑の気配を滲ませつつ言う。
「帰りのバスは遅れんなよ?」
◆◇◆◇
遠くで鳴った鐘の音で目が覚める。
「……んぁ?」
突っ伏していた机から顔を上げつつ、俺は教室内から外を見た。もう日が暮れかけで、大分暗くなっている。
「んーっ……あー、6時間目で寝て、んでホームルームの時にまた寝たんだっけ? 掃除の奴の邪魔にならないようにしてはいたけど、誰も起こしてくれないのかよ……」
あの友人はクラブなのでとっくに教室を出ていて、俺には彼以外余り親しくしているクラスメイトが居ない。それが裏目に出たか。
伸びを1つして、腕時計の表示を見る。
6時23分。あと7分後には、最終バスが出てしまう。
俺は慌てて荷物を持ち、教室を出てバス停に走ろうとして――戻って鍵を閉め、職員室が会議中なのか何故か閉まっているのに舌打ちして、職員室前のロッカーの上に鍵を置いて踵を返した。
暗くなると、この学校は外灯が少ないので、建物があそこにあるな~……程度にしか見えなくなる程暗くなってしまう。
しかも学校が山の上に建てられている所為で、階段が多く、走るのは若干怖い。
今学校に居るのは遅くまで残っている先生達と、ギリギリまでクラブをしている奴等だけなので、人気の無い道を殆ど走ると言って良いスピードでバス停に駆け込む。まだクラブの連中は着替えるのに手間取っているのか、27分なのにも関わらず人が見当たらない。静かなバス乗り場から入り口の開いているバス内に乗り込んで、俺は一番後ろの隅っこに陣取った。
――相変わらず、来るのが遅いよなぁ運転手……。
俺は呑気にそんな事を考えながら、寝足りないと訴える頭を宥める為、鞄の上で腕を組み目を閉じた。
……そして、帰った俺に、家族が泣いて抱きついてきたのは言うまでもない。
以上です。
理解出来ましたか?
一応、この話の解説を活動報告の方に載せておくので、分からなかった方は見に来てください。
感想、誤字脱字の発見等は感想欄に書いてください。
なお、感想の所にこの作品をアレンジして下さった物がありますので、そちらも見て下さると幸いです。