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第七話「赤いトランプ」

 このままここで待っていても、無駄だ。電気もなくただっ広い迷路に、一人。私には、とてつもなく長いゲームの始まりのようにも思えた。でも、だからこそ、このゲームが始まったからには進まなきゃいけないんだ。そんな気がした。そして、いなくなった竹秋を見つけ出し、このトランプの謎を解いて、この世界から脱出するんだ。その使命が私にはある。

 立ち上がり、昨日来た方向の逆へ向かい始めた。しかし景色など変わるわけないし、目が慣れてきたのか、先ほどより明るく見えるものの、あるのは壁、壁、壁……、曲がり角があった。ここを曲がれば、何か変わるかもしれない。理屈のない第六感に囁かれ、私は右へ曲がった。

 しばらく歩いた。歩きすぎて、歩くことに飽きてきそうだった。お腹も空いたし、孤独感は私をより悲観的にする。やっぱり、休憩しよう。きっと近くに誰か、何かいるんじゃないかな。焦る必要なんかない。ちょっとだけ、休憩しよう。

 その時、てくてく、と何者かが近寄ってくる音がした。見上げると、そこにはまたもやトランプが立っていた。スペードのエースだ。私は息をのんだ。しかしそのトランプは私の思考を瞬く間に裏切った。

「……お嬢さん、迷子ですか?」

「えっ」

「えっと、もしかしてあれですか」

 そう言ったトランプは、くるりと後ろを向いた。

「これ、見えますかね。柄。綺麗な赤色でしょう。(わたくし)は、悪の組織なんかじゃありませんよ。あっちは柄なしの真っ黒ですからね。まあ、あっちにいる者は真っ暗すぎて実際の色や柄を見たものは一人もいないという噂なのですが。ここに訪ねてくる者は、大抵私に最初恐れるんです。なにせ、あっちのトップとマークが一緒ですからね。まあ、安心なさってください」

 確かに、悪者とは思えないたたずまいに、綺麗で赤い柄、そして何よりもこの落ち着いた声は、あのネズミ声で口の悪いトランプと大いに差があった。

「少しばかり長い旅になります。でも、着いたらゆっくりできますよ。ご案内します。ついて来てください」

 私は、その赤い柄のトランプについて行くことにした。

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