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第二十七話「化け物の定義」

 僕、どらごん、マツ、杏流は、僕たちのと杏琉のと全く区別がつかないもう一つのヘヤの前にいた。どらごんは同じ鍵の塊を取り出し、六つ目に試した鍵でその戸が開いた。

 今度は、男の子だった。茶色がかった黒髪を揺らし、無愛想な顔で僕たちに振り向くと、一瞬にして表情を変えた。青い縁の眼鏡の奥で瞳孔が広がった。しかしすぐにむすっとした顔をし、

「化け物か?」

 とだけ言い、疑うような目で僕たちの顔を覗いた。

「化け物かどうかは実際には僕には分からない。人によって化け物の定義が違うからね。しかし、もし君の価値観が僕と似ているのならば、つまり化け物は日本昔話などに出てくる幽霊の(たぐい)や、古い病院などの廃墟に現れる亡霊だとするのならば、僕は化け物ではないと言える。しかしだね、もし君の価値観が僕とは違い、君が僕の言う化け物ならば、僕も君にとっての化け物である可能性が高い」

 これはもう博士ぶる領域を超えているとしか言えない。これはさすがに考えすぎだろう。何せ男の子の質問に答えるどころか、彼は混乱して、一言も口をきけずに突っ立っている。僕が通常の人間らしい説明をするべきなのかもしれない。

「僕たちは人間だよ、化け物じゃないし、トランプでもない」

 男の子は納得したようにああ、良かったと頷き、僕のヘヤは狭いよと言った。

 そうして、僕たち4人、いや5人はここにしばらく滞在することに決めた。ヘヤの外からは、今度は緑ではなく紫色の小さな光が一つ、灯されていた。

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