第二話「黒いトランプ」
その後、私と竹秋は一緒に図書館で勉強したり、休み時間に喋ったりしながら仲良くなっていった。毎日がきらきらと輝いて、気分が良かった。恋と勉強の両立は難しいとよく噂に聞くが、本当は違うと思う。何故なら成績の悪いこの私、坂町小竹十六歳が、クラス八位にまで行ったのである。
実は今週末、とても嬉しいことがあった。私はその日友達の誕生日パーティに呼ばれている。しかし、私だけではない。竹秋だって呼ばれているのだ。奇跡だろうか……。聞いているところでは、人数は六人ほどになるらしい。つまり、集団デートのようなものだ。集団デート、か。私は思わずにやけてしまった。
誕生日パーティ当日、もちろんそこに竹秋は居た。しかもいつも以上におしゃれに着飾っている。お金持ちなのだろうか? 私達はケーキでお祝いした後、トランプで遊ぶ事にした。誕生日の友達が棚からトランプの箱を取る。でも、その箱は通常ではないのだ。その箱は黒いのだ。ただ黒いだけではない。一言では言い切れないが、ブラックホールのようで、その部分だけ何もないんじゃないかとまで思わせる闇の色だった。箱が謎の黒い霧に包まれているにも関わらず、まるで誰も気付いていないかのようにその子はみんなにカードを配り始めた。
配られたカードは、黒くはない。おかしかったのは箱だけ。今見ると、箱も普通の白に黒い模様が描かれている。私は不思議に思いながらも、カードを手に取った。途端に、目の前にあったものが全てなくなった。