第一話「恋」
――双子が、欲しい――いつも、そう思っていました(今でも思っています)。双子がいたら、きっと独りぼっちになることなんかない。全てを分かってくれていつも一緒にいる双子という名の親友がいたら、どんなに良いことか。せめて歳の近い兄弟……。私は長女で、弟は6つ下。高校に通う私と、小学生の弟。従妹弟は二つ下と六つ下。二つ下の子はいつも年下とばかり遊んでいて普段も本を読んで絵を描くだけという、私と正反対の性格。その上、私の家族は転勤族。引っ越しばかりで深い友人関係が作りにくくて、いつも苦労していました。私の双子欲しさはエスカレートし、今では生まれる前に他界した優しいお姉ちゃんの優香ちゃん、という設定の双子まで”存在”します。いえ、あくまでも空想の設定ですが。
というわけで初投稿である今回の話の主人公はなんと双子です。二人の間にいろんなハプニングを起こさせたいと思います!第一人称が章ごとに変わったりするので、しっかりと把握しておいてください。では、宜しくお願いします。
私は小竹。今は高校生活一年目の二学期。私がいつも通り廊下を歩いていたら、曲がり角で誰かに当たった。……そして、目が合った――綺麗な瞳――。人はこれを、一目惚れというのだろうか。でも、なんだろう。どこからか不安が私の心をよぎった。
「ごめん……」彼は言った。
私がボーッとしていると、
「名前なに?」と彼が訊いた。
私は思わず、下の名前を言った。
「小竹」
「そうか。僕は竹秋」
竹秋……。変な名前だ。でも私だって人の事は言えない。私は、小さな竹なのだ。私は彼が去った後、クラス名を聞き忘れていたことを思い出し、後悔した。
二週間ほど経った。私は今、図書館で国語の小テストへ向けて勉強をしている。竹秋にはもう、会えないのかな……。そう、思っていたると図書室の戸が開いて、聞き覚えのある声がした。竹秋だ。私が振り向くと、竹秋もこちらの存在に気付いていたようで、私に向って微笑んでくれた。
「小竹だったよね。何してるの?」
良かった。名前をちゃんと覚えてくれている。竹秋も、テスト勉強をするつもりらしかった。私は国語だけど、竹秋は歴史を勉強しに来たらしい。しかも竹秋は国語がすごく得意だったので、私はいろいろと教えてもらった。この時に私は本気で竹秋に惚れた。
私の恋はいつも片想いで終わっていた。でも、今回こそは実らせたかった。だから四つ上のお姉ちゃんに相談した。でもそれは間違いだった。お姉ちゃんからは、彼氏情報は聞いたことはなかったけれど、まさか思ってもみなかった。自慢のお姉ちゃんが、年齢=彼氏いない歴だなんて。
私はがっかりした。また、片思いで終わるのかな……。でも今回こそは、今回だけは、ほうって置けなかった。何故か私には竹秋は、今までとは違う、特別な人に思えたのだ。