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幕間
自然に目が覚める、というよりも、体に走る痛みによって意識が覚醒に移行した。手足の節々が訴える激痛に顔をしかめながら、目蓋をそっと開いていく。
まず初めに感じたのは、鼻にくる薬臭さだった。室内全体にこびりついた刺激臭が、鼻奥の感覚を狂わせる。
あたりを見渡すと、痛々しいまでの白色が目に飛び込んでくる。シーツの白、天井の白、カーテンの白。
偏執的なまでに整えられた色彩は、この部屋の主の性格を正確に表しているようだった。
体を起こそうと、身動きを取るものの、手足に等しく巻かれたギプスのせいでろくに動くこともできやしない。
……確かめなくてはならない。
僕は、目的の場所にたどり着けたのだろうか。
「――――どうしようもないカスだなぁ、僕は」
これからすべきこと、これから成していくこと。
そして、その結果としてたどり着くもの。
これは、僕なりの戦争だった。
敵は強く、僕は弱い。
成し遂げられるのだろうか。この、僕の手で。