青い窓枠
流れていく景色はみんなひとりぼっちで。誰かが欲しい、そう望んでいるように見えた。
影になって光がかけた一角では、誰の声も届かない。みたいな花が一人で笑っている。
誰にも聴こえない唄を唄って。
流されてるのは景色で、流れているのは僕。
赤く光る左手の温度が、冷たく。
色付かないほどの鮮やかな右手は、生温く湿っていた。
真ん中のほうで蠢く冷たい臙脂が、身体を奥のほうから抉り始めた。
口から吐き出される息と共に、僕は言葉を失った。
我儘を摘み取って、植える。
光を少しも、浴びないように。
僕は陰を浴びた。
Twitter:@dakusanno