黒と金
名前だけの回です。名前の下りが長くなってしまいました。
~前回のあらすじ~
ウサギに追っかけられて今男に潰されてます。
「なんじゃそら、全然まとめられてねーぞ、おーらおーら」
「いたたたた!!痛いから私潰したまま頭ゴリゴリしないで!痛いからっ!」
「うぅーるせぇーよー……………………おめーのせーでウサギに逃げられちまったんだぞ、どうしてくれんだおーらおーら」
「いだだだ!わかった!わかったからおーらおーらしないで!ね!?」
この少女の上に横たわり頭をおーらおーらしている少年はせっかくの獲物に後一歩の所で逃げられかなりご立腹の様だ。
そして今現在青年は獲物を捕り逃した腹いせにその原因でも有る少女に制裁を加えているという訳なのだ……。
「んー?何故あのタイミングでアレをああした?」
青年がおーらおーらしながら問いかける。ちなみにアレとはココでは眼鏡のことをさす。
「いや、その……私が…痛い。いやだから、私が痛たた……そうですね、私がですねいだだだただだ」
「はいはいそうですね、あなたどうしおうもなく痛いです。存在が」
「うっせぇーーーーー!ほっとけよ!そんなんほっとけよっ!つまらん事言ってないで早くわたしの上からどけえ!」
「耳元で叫ばないでおくれ。うるさいから」
「お前が勝手に私の上で寝そべっているからこうなってんだろう!そう思うなら私の上から退け!」
「何を言ってるんだい、君は。君の体を見てみてどうだい?しっかりと五体満足に生まれてきているじゃないか。だったら人に頼らずに自分自身の力でどうにかしてみるべきだと思うけどね、俺は」
「いやね、その五体全部使えなくしてんのはアンタだよね。」
「まぁまず自分のしたこと考え直してみようか。そしたらこの末代から呪われてる呪いも解けるかもしれない」
「先祖何したんだよ、あたしの先祖何したら上から押さえつけられる呪いかけられんだよ・・。」
「むかしむかしある所に眼鏡を投げる老人が・・・・」
「いいよ!話さなくて!お前のどうでもいい作り話は」
「気になるだろう。眼鏡を投げるようなじーさんだぞ」
「そんな奴ホントにいたら気になるんじゃなくて心配になるよ!」
「僕は眼鏡が心配です。」
「・・・・・・」
この状況。青年はがんとして身を引く事はなく、いくら少女が体に力を込めても抜け出すこと不可能に思われた。だが事態は時として思はぬ方向へと転がる事が有る。そう、故人織田信長公ですら自分の知らぬ所で起きる様な事に関しては事態の回避は不可能だったのだから。
まぁ、今おこることはそんなに大きな何かではないのだけれども。
ごす・・・鈍い音がした。決して辺りに響き渡る様な音ではなく、言うならば思春期の子供が『どうせ自分一人居なくなったって世界は変わらずまわり続けるのだろう』そんな事を考えつつも何もせず何事もなく日常生活送りそして大人になる。それくらい小さな出来事と比較できるくらい小さな音だ。
言ってしまえば彼女は五体の内の一つを武器としたのだ。人間困った時こそ頭を使うものだが決して頭の中身、いわゆるミソを使うのであって武器と使うのこの言葉の意に反しているだろう。
要するに下手に出ていた彼女は我慢しかね彼女は右手・左足・右足・左手をどうこううんぬんかんぬんして反撃、などというより文字道理頭を使い、そしてど突いてやったのだ。
つまり、世間一般的にいう頭突きと言うやつだ。
先ほどまで優勢と思われていた青年は頭を頭で砕かれたのだ。
だが少女もまた共に頭をおさえながら地面をゴロゴロと転がり回っている。決して少女の頭が石頭だと言う事でも無い様だ。
「なあ」「ねぇ」
「「休戦にしようか」」
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先の戦いから数十分が経過した頃だった。
少女は青年につれられ、彼が住んでいるという場所へと導かれていた。だが歩く二人の間に会話は無く未だ冷戦の最中なのである。
お互い目が合うと再び戦いの火ぶたは切って落とされる事を予期し、お互いに目も合わせる事も無かった。最早ただの意地の張り合いただの子供の喧嘩としか言えない。
「いや、決して謝るつもりが無いわけでは無いのだ。ただ単に淡々と謝るのが恥ずかしいだけであって別に全くもって意地を張ってとかそういうんじゃないと少女は心の片隅で呟くのであった」
「お前の呟きって超長文なのな」
「別にあんたの為にわざわざ説明口調で言ってあげてるんじゃないんだからね」
「何その微妙なツンデレ!?」
などと素敵茶番空間を展開しながら元来た道を少し迷いながらも戻っている青年と見知らぬ少女。
別に先の事をいつまでも気にしてる訳ではない。
ただ単に淡々と―・・・・どう声をかけたらいいか解らないのだ。
先の事は成り行きに唐突に事が起きたばかりに自然と会話が生まれた。しかし、こうも何もない状況はどうした事か。会話が無い、いやそれ以上に話題が無いのだ。
今まさに少女は話題は無いかと、頭を搔きめぐらせ目を視界の端から端までをくまなく脊髄を介して全力で脳に送り込み話題を、いかに不自然ではないかを何回も頭の中で確認を繰り返す。
はっきり言って余りごたごたと考え事をするのは好きではないがいくら初対面といえど、初対面だからこそのオブラートに包み込んだ様なワンバウンドついた会話が必要とされるのであ「おい」
!!
「なんだすおわか!」
「?、何語だそれ、復活の呪文?俺にもわかりやすい言葉で頼む」
別に外国語とか古代の呪文とかでも何でもなくただ単に混ざった、混合した。「なんですか」「なんだ」「なんでしょうか」この言葉を同時に言えと言われればこうならなくも無い様な言葉だ。ただ、別に自分から好き好んで混ぜたのではなく自然現象だ、反射的反応だ、突然青年に言葉をかけられたから頭の中の言葉がが全部出てきてしまった、どう誤魔化そうか。いや、無理だな諦めよう。
「あたしの名前は『おい』じゃねええええ!」
つい逆切れしてしまった。
いっけね。
「五月蠅い、何怒ってんだよ。なんだ?あなた様はまだ先の事を怒っていっらっしゃるのか?まったっく、器が小さいと思われてしまうよ、君は。だが今日君はこの日という日に学習する機会を得た。だから、今日というひを忘れずに次に生かせよ少女」
なんという事だろう、説教と教訓を説かれてしまった。
この青年中々の人格者かもしれない。
「俺は今日という日を忘れないぞ、先お前を上から下敷きにしていた時の背中に当たる柔らかきたゆたみの事をな」
「てめーの鼻から頭にかけて棒を差し込めば忘れてくれるかしら」
「あれ?ここは何処?わたしは誰?」
「白々しい上に腹が立つ!」
前言撤回。
こいつは過去希に見るクソ野郎だった。
「まあそんな冗談は置いとこうぜ、それよりもお前、いつまでも『お前』じゃあ呼びづらい、だから名前を教えてくれよ」
「そう言えばそうね、すっかりどうでもいい事だわ、あんたのせいで。でも確かにあんたにお前呼ばわりされるだけで自殺願望に苛まれるのも確かー・・・・そうね、じゃあ名前の一つや二つぐらいおしえとこうかしらね」
「お前には名前が二つあるのか」
「人並みにね、苗字と名前」
「くだらん御託はいいからっさっさと吐け」
「わかったわよ、確かにあんたの声訊いてると吐きそうだけれどもそんなに気をまわさなくていいわ、逆の逆に吐きそうになるの。あんたの優しさには常々吐き気を催しそうよ」
「そんなに嫌いにならないでおくれ、流石に傷つきそうになる。」
「安心しなさいな、逆の逆よ。ゲロはゲロでもうれしゲロよ。同じ吐瀉物でも全く違う別物よ、同じにしないで」
「お前の頭の中の線引きが異常という事しかわからないしどちらにしろ俺にっとってそのゲロが悪ゲロでも嬉ゲロでももらいゲロしか生まないから直ちに吐かないでくれ」
「あらそう・・・・残念。私の名前は黒霧 天李名前全体で夜空を連想しそうな名前だと自負してるから胸を張ってみんなにいいふらすわ。そしてそれと同時にお前を殺す女の名だ覚えておきなさいな」
「何の文章の脈絡もなしに自己紹介してきたね、そして殺害予告もしれっと言ったよね、自分の名前と殺害予告と吐瀉物を並べやがったよ」
「問題ないわ、人間なんてそんなものよ」
「お前のせいで人間不信に陥りそう、きっと人間が何か一から考え直す事になりそうだ」
「じゃあ駄目になる前にあんたの名前を吐きなさい。あー………胃液は吐かないでね、何か私そういうの駄目な人だから」
「安心しろ少なくともお前と同じ意見の奴なんてこの世に億はいるわ。名前…………ね、そうさな、Orー………オルとでも呼べばいいさ。俺の名はオルだ、改めてよろしくたのむよ」
Or とはフランス語で金色などを表しますのです。