男の手記より「プロローグ」
この物語には、残酷な表現が多々あります。ダークです、
そういうのはイヤ、という方はいますぐバックプリーズです。
暗がりで仄かな明かりが揺れている。ギシリ、と軋む椅子の音が聞こえる。
椅子の上に男が座って何かを一心に読んでいる。カサリ・・・カサリ・・・、一定のリズムを刻む、ページを捲る音がする。
男はぞっとする程美しい顔をしていた。いつもなら心温まる仄かな明かりですら、今は男をさらにおぞましく、艶かしく見せるための飾りでしかない。
と、ふいに男が顔を上げた。そして、何か楽しいことが起ころうとしているかのような、仄暗い笑みを浮かべると、ぶつぶつと何かつぶやき始めた。
すると、男の足元にぽかり、と黒い孔が開いた。それは、仄かな明かりを松明に、暗がりですらを明るく感じさせるような、真っ黒い真っ黒い孔だった。
「あぁ、今度こそ・・・!今度こそ、私のもとに帰ってきてくれ・・・―エリス―」
男は祈るように手を組み合わせると、笑いながら何度も、何度も「エリス、エリス」と狂ったようにつぶやく。
やがてその孔から、何かが生えてきた
それは孔のように黒く、ぐちゃぐちゃに形が崩れていて、手の指のようなものでかろうじて『腕』と認識できるような惨いモノだった。
男はその『腕』を優しく撫でると、うやうやしく、手らしき部分を手に取った。
そのとたん、『腕』は音もなく崩れ去った。男の手には、残滓らしき黒いものがポツリ、ポツリとついているだけだった・・・
男は声も無く泣き崩れると、先ほどまで孔のあった場所を愛しげに撫で始める。
泣き崩れながらも、その孔の痕に手を這わせる姿は、あまりにも哀れ過ぎた・・・
やがて、男は何事も無かったかのように、また、あの一定のリズムで本を読み始めるのだった。
これは、すべてを望んだ男が手に入れたモノの記録である。なお、この手記を読んだものに頼みがある。
「どうか、これを――に・・・」
はじめまして、作者の櫻井広です。自分で小説を書くのは初めてなので、正直これを投稿するのにものすごく勇気が要りました。
この話はプロローグこそダークですが、暗すぎないものにするつもりです。(エンディングは分かりませんが・・・)
ついでに言うと、厨二病的な感じになってしまうと思いますw
それから、基本作者はマイペースなので、更新が遅くてもごめんなさい。
こんな初心者な作者ですが、頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。