6-2 「青い閃光」
悲鳴が響いた瞬間——
ナユタは弾かれたように立ち上がり、
椅子が勢いよく倒れる音が鳴った。
ガタンッ。
その残響が消える前に、
ナユタの影は階段を駆け上がり外の通路へ飛び出していく。
「ナユタ、待て!」
ルシファーの声は、もう届かない。
一瞬だけ息を呑み、そのまま床を蹴った。
影が伸び、鋭い軌跡を描きながら少年を追いかけていく。
レビは肩を跳ねさせて振り向き、
リュックは布を震わせながら後ずさる。
「こ、こえぇって……!」
通路は薄暗く、冷たい風が流れていた。
曲がり角の先——その空気が、急に重く変わる。
ナユタの足が止まった。
地面に膝をつき、崩れ落ちるように泣き叫ぶ女性。
その腕に抱かれているのは——
自分と同じくらいの年の少年。
胸元は血に沈み、肌の色はもう戻らない。
「……いや……っ……いやぁ……!」
声はかすれ、喉が裂けるように震えていた。
その横で、ひとりの男が立っていた。
ぼろ布のような上着、痩せこけた頬の傷跡。
握ったナイフは真っ赤に濡れ、滴る血が地面に落ちていく。
「食い物を寄こせ。」
その声音には、怒りも、悲しみも、後悔すらなかった。
ナユタはゆっくり歩き出す。
女性のすすり泣き、血の匂い、ナイフの残光——
全部が胸の奥を締めつけた。
少年の胸元の傷と、男の握る刃を見た瞬間、
——なにかが切れた。
「……お前が」
喉が震えた。
言葉になる前に、瞳が揺れる。
その奥で、小さな青い光がひとつ、じんと灯った。
ぱちっ——。
光が裂ける。
瞳の中央から、青白い筋が四方へ走り、
星座が描かれるように広がっていく。
「……っ」
まつげの間から漏れた粒子は空気に触れて膨らみ、
ひとつ、またひとつと弾けた。
怒りの脈動に合わせて、青い残光が周囲を照らし、
壁に淡い影を映しだす。
胸の奥が熱い。
脈打つたび、星屑が飛び散る。
まるで——
心臓が光を吐き出しているようだ。
ナユタは一歩前へ踏み出す。
「お前が……やったのか——ッ!!」
叫んだ瞬間、星屑が激しく爆ぜ、
通路いっぱいに青い閃光が流れる。
血だまりの表面に、その光が反射する。
空気の流れが止まったように感じられた。
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