4-6 「夜風と三人」
夜。アンダーグラウンドは静まり返っていた。
薄暗いランプが揺れ、壁の影だけが長く伸びている。
ナユタは音を立てないように階段を上がった。
羽を握る手に、じんわりと汗がにじんでいた。
みんな寝ている。
だから、今しかなかった。
出入り口のあたりで、小さな影が動いた。
一匹の悪魔が目を細めてナユタを見上げる。
ナユタは唇に指を当てた。
「しーっ」
悪魔は不思議そうに首をかしげ、やがて何も言わず背を向けた。
夜風が、顔を撫でた。
冷たい空気に、胸の奥がきゅっと鳴った。
握りしめた黒い羽が、夜の灯にわずかに光を返した。
ゆっくりと足を運ぶと、レビの店の明かりが見えた。
扉の隙間から、水音と……なにかが暴れる音が聞こえる。
次の瞬間、リュックが勢いよく飛び出してきた。
「イヤだっつってんだろーが!!」
水滴を撒き散らしながら夜道を駆ける。
その後ろからレビが飛び出した。
「ちょっと! 拭かせなさいってば!」
リュックが角を曲がった先で、ナユタと鉢合わせた。
「ナユタ?」
リュックの声に、ナユタはわずかに肩を震わせた。
「ちょっと待ちなさーい!」
レビの声が夜道に響いた。
リュックはナユタの隣に飛び込んだ。
「た、助けろ! また拭かれるのはゴメンだ!」
レビが夜風を切って追いかけてくる。
夜の道に、騒がしい足音が響いた。
やがて、三人は並んで歩いていた。
レビはタオルを肩に掛け、リュックは文句を言い続けている。
ナユタは黒い羽を握ったまま、息を整えた。
背後には街の灯り、前方には暗い森。
風が草を揺らし、夜の匂いが濃くなる。
三人の影が並び、ゆっくりと森の方へ伸びていく。
……羽が、闇の中で微かに光を返した。
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