4-5 「隠された戦友」
太陽の光が路地の端を照らしていた。
石畳にはまだ朝の冷たさが残り、息を吐くたびに白く揺れた。
ナユタは階段の前で立ち止まり、手の中の羽を見下ろした。
朝の光を吸い込み、かすかにきらめいていた。
誰もいない路地は静かだった。
街のざわめきが、遠くからかすかに聞こえる。
小さく息を吸い込み、そっと地下への階段に足をかけた。
アンダーグラウンドに戻った。
階段を下りるたび、薄い光が背中から遠ざかっていく。
湿った空気が地下を満たし、冷気が足元に絡みついた。
手の中の羽を軽くつまみ、くるくると回した。
薄明かりの中、静かに揺れていた。
ルシファーは壁にもたれ、沈黙のまま見つめていた。
ナユタの視線が、まっすぐ彼に突き刺さる。
「この羽を落とした天使……誰なの?」
沈黙。
ルシファーは目を細め、僅かに顔を上げた。
「昔の戦友だと言っただろ」
ナユタは首を横に振る。
瞳が強く光った。
「ウソだ!!」
力強く一歩踏み出した。
足音が湿った床に響く。
握った羽が掌の中で軋んだ。
「隠してるだろ!」
その声は震えていたが、迷いはなかった。
距離が、じりじりと詰まっていく。
ルシファーは何も言わないまま、その視線だけをナユタに向けていた。
通路の奥に、空気の揺れが走る。
彼の瞳がわずかに揺れたが、口は動かない。
沈黙だけが、ナユタの胸を押しつぶした。
羽をぎゅっと握りしめた。
掌の中で黒い影がかすかに軋む。
ナユタは背を向けた。
握ったまま、しばらく動かなかった。
湿った空気の中で、小さく息を吐いた。
天井から、ぽたん、と水滴の落ちる音がした。
それが消えると、世界は静寂だけになった。
ナユタは目を閉じた。
唇を引き結び、顔を上げる。
瞳の奥に、確かな光が宿った。
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