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命懸けの密約

奏はエリステラに服を捕まれると、そのまま私室まで連れていかれた。


「口が滑ったわ……気付かないふりをして、危なくなったら知らない事にしようと思っていたのに……」


「残念、これでお前も共犯だ。俺が生き抜く為に色々と協力してもらうぞ」


「本当に馬鹿なの?私が知らない振りを続ければいいだけの話でしょ。“王女”と”女性の振りをしていた男”……どちらの話を信用するかしらね」


奏は表情を変えず、スマホを出してエリステラに見せた。


『口が滑ったわ……気付かないふりをして、いざとなれば知らない事にしようと思っていたのに……』


スマホから、録音されたさっきの会話が流れ始める。奏は録音を止めてポッケにしまった。


「あっ!スマ……ホだっけ?もってたの!?」


「馬鹿はお前だ。スマホなんて前の転移者も持ってただろ、さっきから詰めが甘いんだよ」


「本当に良い根性してるわね、やっぱりあの時処刑しておくべきだったかしら?」


「されてたまるか、それに……実力で王妃に認められたんだからとりあえずは上出来な方だろ?」


奏は部屋の中を見渡すとベッドがあり、エリステラの許可なく勝手に座った。

部屋の中は意外と質素でベッドと少し豪華な机があるだけで、他には何もない。


(装飾品の類はなし……。王女と言う割には贅沢は嫌いなタイプなのか?)


「勝手に人のベッドに座らないでよ……って言いたい所だけど、座る場所ないから仕方ないか……」


エリステラは溜息をつきながら、奏から少し離れた所に腰掛けた。


(ベッドにわざと勝手に座ってみたが、嫌がる様子はなし。この国では、男自体が嫌われてるってわけではないのか……)


奏は、なるべくエリステラに悟られないように情報を集めたかった。聞けば簡単だが、実際に自分で考えて判断したほうが騙される心配が少ないからだ。


「それで、具体的に俺は何をすればいいんだ?魔王を倒すのは分かったけど、ちゃんと細かく説明してくれ」


「そうね……何故戦っているかは、長くなるし複雑だから飛ばさしてもらうわ。戦っている期間は5年位になるかしら……戦況は五分五分。

魔王側の体勢は、魔王、側近5人、後は数人の精鋭と雑魚ってとこ」


「大事なとこ飛ばすなよ……5年も戦況が動かないのは意外だな。そんなに実力が拮抗きっこうする事なんてあるのか?」


感じた違和感を奏はストレートに聞いてみた。相手が嘘をつけば違和感に気付けるし、正直に話してもらえれば情報になる。


「そこが問題なの。魔王軍は間違いなく、エルフやドワーフからも援助をもらっている。本来戦争中は他国の援助は禁止されているにも関わらずね」


「ドワーフやエルフもいるのか!?本格的に異世界っぽくて流石にテンション上がるな!」


「はいはい、良かったわね。でもドワーフもエルフも私たち人間とは最高に仲が悪いから会ったら殺されるわよ?」


「…………は?」


あまりの衝撃発言に奏の思考は一瞬止まりかけたが、気合で意識を保つ。


(いや……魔王が敵というより、これって人間が嫌われすぎてるだけなんじゃないのか?決めつけるのは早いが……)


「なぁ……それって人間は人間以外全員敵って認識であってたりするか?」


「まぁ、そういう見方もできるわね。あいつら変に仲間意識もってるし」


奏は確信する。まだ確証はないが……恐らく人間サイドがクズパターンの異世界転移だ。

しかもクズ側に転生してしまっているという悲劇……。


「大体の事情は分かった……後はこっちの状況も教えてくれ」


「こっちはお母様を筆頭に、私、剣聖が3人、大魔道士が2人、後は各部隊の部隊長が目立った戦力で後は一般兵ね」


(大体戦力は同じくらい……?だとすれば援助を受けてる魔王軍の方が自力なら弱いと見たほうがよさそうだな。怪しまれると動きにくくなる、これ以上下手に詮索はしないでおくか……)


奏は少し考え、質問するのをやめた。


「ところで、さっきお母様様に何したの?正直な話、お母様が膝をつくところなんて初めて見たわ」


「あー……あれは俺達の世界の格闘技の技だな。説明が言葉では難しいから体験するか?」


「やめとく、お母様で防げないなら結果は一緒だし……不用意に男に触ってお母様みたいに、発情したくないわ」


「発情!?一体どういうことだ?」


エリステラのいきなりの爆弾発言に奏は驚きを隠せなかった。


「この世界の女性は基本的に男に触れると発情するのよ。お母様はあなたが女だと思っていたから発情じゃなくて、恋をしたと勘違いしたみたいだけど。こっちの世界では同性同士付き合うのは一般的な話なの」


「だからあんなにうまくいったのか……危なかった……」


「うまくいきすぎよ……夜の約束の事は、自分で解決してよね」


「バレる前に満足させればいいだけだろ?何とかなるって」


「本当に分かってないわね……とりあえず、今から教会に行って奏のステータス確認するわよ」


エリステラは、奏の楽観的な思考に溜息をつく。


「ステータス?どういう事だ?」


「加護があるかとか、魔法属性とか色々あるのよ。ついてくるば分かるわ」


エリステラは立ち上がり、奏についてくるように手で合図をする。


(部屋まで引っ張って来た時も手に触れず服を掴んだ理由は発情しない為か……これはまじで使えそうだな)


奏は怪しく笑うと、エリステラの後について部屋を出ていった。


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