ほらね?他人事ではなく、他山の石にせんと。
今日の乗り物ニュースにあられもないロイヤルネイビーの姿が激写されていた。
稼働原潜が無くなり、修理用ドックも埋まるというトンデモナイ爆笑問題ね。
綺麗な言い方をすれば、武士は食わねど高楊枝って事。
核武装と原潜に固執した結果、とうとう大英帝国の栄光もここまで墜ちてしまった。
ただ、これは他人事として笑って済ませる話ではない。
日本でも原潜待望論がそこかしこで聞こえてくる。先日もコメントを貰ったが、何も私は原潜の性能を否定して保有すべきでないと言ってるわけではない。
これよ、コレ。今日の乗り物ニュース。
英国の潜水艦は全部で10隻。そのうち4隻は戦略ミサイル潜水艦と言って、トライデントミサイルを16発搭載した核戦力となっている。これが一隻どっかに潜んでいれば、そこから50発近い核弾頭が、英国に害をなす国へと撃ち込まれることになる。これが、英国の核抑止力となっている。
残りの6隻が、俗にいう攻撃型原潜と呼ばれるもので、豪州が導入を決めた潜水艦と同じ種類である。
昔はさらにアップホルダー級というディーゼル潜水艦も有していたが、冷戦崩壊後の軍事費削減によってカナダへと売却されることとなった。
まあ、これが英国のこれまでの説明になる。
さて、では日本の原潜保有論者は、日本が何隻の原潜を持てると考えているのだろうか?
どうにも、この英国の惨状について無知すぎる。何なら自分たちは違うんだという、いつもの出羽守論に終始してはいないだろうか。
曰く、英国のように米国からトライデントミサイル買えば2兆円で済む!すごくお得!
曰く、豪州は僅か1兆円で原潜を8隻も手に入れる!ものすごくお得!
ってさ。
どこが?
日本と英国、日本と豪州の違いについて理解してるのだろうか?
まあ、ついでに言えば、英国が核政策を放棄して通常戦力のみで軍を構成するならば、原潜や核兵器維持の負担がなくなるので、通常軍備、軍の海外派兵に毎年1兆円近くを振り向けることが可能になる。
そうなると、チャレンジャー2をもって終了となる戦車開発を止める必要もなくなるし、日英伊共同開発の戦闘機計画にももっと多額の予算を投じることが出来るし、何より、動くかどうかわからないQE級空母2隻なんて窮屈な体制ではなく、さらに一隻増やして常にどこへでも空母を差し向けるだけの力を回復させることが出来る。
潜水艦だって、核さえ積まないのであれば、原子力でなくともよい。英国の周りを哨戒する日本のような大型ディーゼル潜水艦を14隻くらいと、トマホーク多数を積んでエイリアン頭をしたガスタービン潜水艦を6隻くらい有し、対潜能力の低いペルシャ湾や南シナ海へとエイリアンを出没させれば十分な力を示せる。
エイリアン潜水艦というのは、今から15年くらい前にBAEが提案した通常動力型潜水艦で、対潜警戒をしなくて良い海域は浮上してセイルに装備したガスタービンを回して水上艦のようにかっ飛ばし、任務海域だけ潜って身を潜めるという、ペルシャ湾への配備を目的としたような艦だった。
さすが変態国家。仮に原潜保有が出来なくなろうと、世界中への戦力投射が叶う武器の考案には余念がない。
まあ、英国というのはいつもそうやって「もしも」への備えまで頭を巡らせている変態さんだ。
対して、日本の一部風潮はどうだろうか?
これまで幾度も欧米の流行りモノをそのまま導入して失敗してないだろうか?太陽光の買取など、当時すでにスペインで顕著に失敗が示されていたが、何の対策も無く導入を決め、今やこのザマ。誰だね?「ソーラー上げれば丸儲け」なんて嘘八百叫んでたの。嘘だったじゃないか。
今日の乗り物ニュースは、まさに、原潜保有のウソを如実に示している。
というのも、英国のように原潜に固執して数を減らすとイザという時に動かせる潜水艦が無いという喜劇を演じることになってしまうから。
そりゃあ、英国には北極海の氷の下でロシア原潜と追いかけっこするという任務があるから、原潜が欲しいんだろうけど。日本にそれって必要?
前回も書いたように、豪州の8隻というのは、その内の1隻でも南シナ海に出て来ていれば良いんだ。
その1隻を豪州が出すことで米国の負担が減る。
確かに、1隻で何でもできるわけではないが、その分は周辺のマレーシアやシンガポールなど防衛協定締結国のディーゼル潜水艦がカバーしてくれる。何なら、自衛隊だって護衛艦出してるまである。
それに対して日本はどうなんだろうか?例えば、南西諸島沖に展開する潜水艦を2隻から1隻へ減らして、誰かが替わってカバーしてくれるの?
米国?別に米国の原潜が2隻に増えるわけないでしょ?米軍が原潜増やす訳じゃないから。
日本が原潜を有するって事は、現状ではただの戦力ダウンにしかならない。
例えば、横須賀から沖縄まで今は3隻がローテーションして1隻配備に就いているとしよう。22隻体制が8~10隻になるという事は、3隻体制を最悪1隻だけで担うって話になるんだ。出来るの?原潜だからと言って年中無休で張付く訳にはいかんからね?
今、数が足りなくてそれをやってもまだ問題が出ちゃってるのが英国よ?
数を減らせば予備がなくなり不測の事態には対応できない。そもそも無理をしていたならば、稼働ゼロになって当たり前。それが今の英国。
そこんとこを理解した上で、原潜待望論を吹いてるのだろうか?




