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秘封俱楽部活動記録 ~Last Occultician~  作者: 伽藍堂本舗
最終章『Angra Mainyu』
52/53

俱に天を戴けずとも

 ──燃える。桜が、燃える。


 爛漫の墨染桜が世界を焦がす。



 燃え盛る西行妖。それを見つめる菫子たち。西行妖と共に紫の計画も灰燼と化した。それは同時にこの世界の破滅が決定づけられたことを意味する。そして、菫子が元の世界へと帰る手段も失われた。


 「私ならっ、菫子さんを元の世界に戻せますっ!」


 麟が叫ぶ。


 「別に良いわよ。ロクな世界じゃなかったし」


 そもそも、菫子がこの世界へ来ることになった理由は同級生に突き飛ばされ、トラックに撥ねられたからだ。たとえこの世界が滅びるとしても戻ろうとは思わない。


 「そう。戻る理由なんてない。ないのよ」


 ──本当にそうだろうか?


 「ない。ないのよ」


 「本当に良いんですか?」


 ──菫子の中で未練が鎌首をもたげる。


 「本当に戻れるの?」


 「ええ、戻せます。なんとなく分かるんです」


 いつのまにか妖夢の姿は消えていた。麟はぼろぼろと泣きながら菫子に訴える。その顔が燃え盛る炎に照らされる。


 「私は菫子さんに生きて欲しいですっ!」


 「......そういえば、麟と出会ったのも春だったわね」


 菫子は帽子を深く被り直し呟く。


 ──春。それは出会いの季節であり、別れの季節でもある。


 「菫子さんっ!」


 麟がもう一度、叫ぶ。


 「そうね。空もこんなに赤くなってしまったし、そろそろお暇するわ」


 瞬間、目の前が真昼のように明るくなる。

 ──秘封倶楽部活動記録、次週完結。


 同人誌の方もよろしくお願いします!

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