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秘封俱楽部活動記録 ~Last Occultician~  作者: 伽藍堂本舗
最終章『Angra Mainyu』
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無差別爆撃娘

 「永い夜になりそうね」


 八千慧たちと共闘した古明地組との戦いでこいしが逃走したことは知っていた。だが、スカーレット財閥に合流していたのは想定外だ。


 「私たちは最強なんだから」


 二人の姿が消える。過去に戦っているとはいえ、まるで勝手が違う。夜の闇とこいしの魔導の組み合わせは凶悪だ。見えない打撃が降り注ぐ。躱しきることは霊夢でも不可能だ。


 「ぐっ……」


 【守護者(ガーディアン)】を使えば凌ぐことはできる。だが、朝までは持たない。持久戦は不可能。だからこそ霊夢は二人の魔導を暴くことに注力する。


 「この威力、フランね」


 こいしに出せる威力ではない。主に攻撃しているのはフランで間違いないだろう。レミリアと同じ吸血鬼であるフランの攻撃を受け続けるのはリスクが大きい。霊夢は空中へ退避する。だが、攻撃からは逃れられない。


 「どこに逃げても無駄よっ!」


 フランの声だけが暗闇に響く。相変わらず位置は掴めない。位置を悟らせないため、頻繁に移動しているのだろう。


 「直に殴ってるわけじゃなさそうね」


 浮遊させた御幣に反応はない。跳躍し、殴りつけているわけではないようだ。霊夢は無数の御幣を地上へ向けて投擲する。そのまま地面に突き刺さるものが大半だが、一部はへし折られる。霊夢は護符を針状に丸め、放つ。


 「無駄よ。紙の串なんて私には効かない」


 居場所は掴めた。とはいえ、すぐに移動されるだろう。だが、問題ない。


 「二人はくっついてるワケね。となると、こいしの魔導は近くにいるか触れていないとダメみたいね」


 こいしとフランが別行動しているなら二か所で御幣が防がれるはずだ。だが、実際には一か所だった。つまり、こいしとフランは至近距離にいる。それを確信した霊夢は二人を引き離せないか試す。


 「せいっ!」


 急降下し、御幣を振り下ろす。躱されるが、地面に突き刺さった御幣によって動きは制限されている。躱した先を予測し、続けざまに御幣を振るう。


 「邪魔っ!」


 御幣がほぼ全て薙ぎ払われる。霊夢は空中に回避する。だが、動きを制限するために突き刺した御幣はほぼ全て根元からへし折られてしまった。


 「分かったわ。もう、容赦しない」


 霊夢は動きを止め、掌を合わせる。まるで祈祷するような動作。その姿に嫌なモノを感じたフランは地面を蹴る。姿がブレるほどの凄まじい踏み込み。


 「なっ!」


 全力で霊夢を殴りつけたフランだが、その拳は霊夢をすり抜けてしまう。確かにそこにいるのに触れられない。まるで陽炎のようだ。


 「夢想転生。答え合わせの時間よ」


 霊夢は語りだす。曰く、フランの魔導は「力を加える程度の能力」。遠くのものに対し、繰り出したパンチやキックと「同じ向き」で「同等の力」を加えられる。つまるところ、リーチを無視して相手を殴れる魔導だ。


 「吸血鬼特有の馬鹿げた身体能力がこの魔導をさらに強化してるのね」


 見えていないはずのフランを見据えて霊夢は説明する。そして、当然のようにこいしを見て続きを話す。


 「こいしの魔導は『透明になる程度の能力』。自分や触れたものを透明にできる」


 魔導の正体を完璧に暴いた霊夢は泰然とした足取りで二人へ近づく。フランとこいしは攻撃するが、その全てが霊夢をすり抜ける。


 「無駄よ。私はいまこの世界から()()()()()。次元が一つ上なのよ」


 高次元から低次元へ干渉することは可能だが、その逆は不可能。この理屈を体現したのが今の霊夢だ。


 「お仕置きの時間よ。覚悟しなさい、ガキども」

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