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秘封俱楽部活動記録 ~Last Occultician~  作者: 伽藍堂本舗
最終章『Angra Mainyu』
39/53

ワンルーム似非宗教

 お空が放った火球はビルの瓦礫を一瞬で蒸発させた。だが、早鬼はガラス化した地面を踏み割りながら平然と立ち上がる。


 「私の【猛進(アサルト)】はこの程度じゃ破れねえな」


 「移動中、頑丈になる程度の能力」、それが早鬼の有する魔導。どれほど頑丈になるかは見ての通りである。埴輪を蹴散らし、ビルを突き破り、地面がガラス化するほどの熱に晒されてもビクともしない。まさに、鉄壁。


 「埒が明きませんね」


 「奇遇ね、私もそう思うわ」


 無邪気に刺し殺そうとしてくるこいしをあしらいながら霊夢は同意する。いくら早鬼が強かろうと拮抗したこの状況ではあまり意味はない。彼女の強さを活かすためにも膠着状態の打破が必要だ。


 「一番厄介なのはさとりの【読心(アナライズ)】です」


 「私が魔導を使う、あとは分かるわね?」


 「ええ、貴方の【守護者(ガーディアン)】なら突破出来るでしょう。畳み掛けます」


 『動くな』


 八千慧が【威圧(コンクエスト)】を発動し、こいしの動きを止める。一瞬、自由になった霊夢が素早く魔導を発動する。即座に磨弓率いる埴輪兵団が霊夢を狙う。だが、意図を察知した早鬼が突撃する。


 「お燐、お空。巻き込んで構わないから埴輪ごと早鬼を止めなさい」


 「遅い」


 霊夢は埴輪たちを浮かせ、さとりへ投げつける。


 「【偶像(アイドル)】、解除」


 袿姫が魔導を解除する。瞬時に土へ戻る埴輪たち。だが、霊夢はさとりの懐へ潜り込んでいた。


 「がッ!?」


 手にした御幣でさとりの鳩尾を突く。白目を剥き、気絶するさとり。彼女が気絶した時点で戦況は菫子たちに傾いた。


 「これは無理ね。磨弓、帰るわよ」


 見切りをつけた袿姫は磨弓を連れて撤退する。


 「お空ッ! 【太陽(フレア)】を!」


 燐は【火車(ホウィール)】を発動し、攻撃の手を止めた早鬼と八千慧を倒そうとする。だが、菫子と天子がそれを阻止。二人が陣取っていたビルを基礎ごと沈下させつつ、他のビルを傾けて叩きつける。ビルから振り落とされ、戦闘不能となるお燐とお空。


 「これで全員?」


 さとり、お燐、お空を縛り上げながら菫子が確認する。だが、霊夢は渋い顔でこいしが逃げたと伝える。


 「やっぱ、ブランクあると肝心なとこでおざなりになるわね」


 ボヤく霊夢。そして、八千慧たちに報酬を渡すと夢想堂へは戻らず依神金融へ向かう。




 * * * * *




 「確かに引き渡したわよ」


 「ええ、事前の取引通り、スカーレット財閥の壊滅に手を貸せばいいんでしょ?」


 「じきに神霊党は崩壊するので紫たちを除いた最大の障害はスカーレット財閥、だから協力して欲しいのよ」


 菫子と霊夢はそう説明する。だが、女苑は分かった分かったジェスチャーで説明を無理やり終わらせる。


 「理由とか興味ないから。先払いで貰った報酬分だけ協力する。これそういうビジネスなのよ、それ以上でもそれ以下でもなくね?」


 天子はどうだかといった表情で肩をすくめ、菫子は現金な発言に眉を顰める。だが、霊夢は平然と契約書を渡す。


 「だったらとっととサインしてちょうだい。暇じゃないのよ、私たちは」


 「そのドライな感じ、嫌いじゃないわ」


 慣れた様子で契約書にサインする女苑、それを確認した霊夢は日時はまた連絡するとだけ言い残し、とっととドアから出ていってしまう。


 「ホラ、あんたらも帰った帰った」


 女苑はシッシッと残った二人を部屋から追い出す。どうしようもないので菫子と天子は霊夢のあとを追って夢想堂へと帰還する。

次週、休載します。7/8から連載再開します。

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