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秘封俱楽部活動記録 ~Last Occultician~  作者: 伽藍堂本舗
最終章『Angra Mainyu』
38/53

アンロケイテッド・ヘル

 「追撃ですね、分かりました。お空、ぶっ放していいらしいよ」


 「やったー」


 お燐たちは即座に追撃を決定。お空が狙いを定める。右腕に装着された多角形の制御棒のような砲身に光が収束していく。灼熱の火球が形成される。


 「燃え尽きろ」


 火球が放たれる。燐による援護を受けて真っ直ぐ菫子たちへ向かう火球。だが、火球が炸裂することはなかった。


 「聖徳太子に選ばれし甲斐の驪駒をなめるなよ」


 啖呵とともに早鬼が後ろ蹴りで火球を吹き消す。立ちこめる煙を引き裂いて早鬼が疾走する。ほぼ同時に菫子も燐たちへ突進する。


 だが、突如として降り注いだ大量の矢が二人の行手を阻む。空中で急停止し、すんでのところで矢を回避したす菫子は辺りを見渡し、射手を探す。


 元凶はすんなりと見つかった。軍隊のように整然と動く大量の埴輪。その陣頭で指揮を取る古代日本の鎧を着た黄色い髪の少女。

 そして、枯葉色の陣に護られるようにエプロンと頭巾を身につけた陶芸家のような青髪の女性とピンクのセミロングスカートを着た薄紫の髪の少女がこちらを見つめている。


 「古明地さとりと埴安神袿姫ですか、総出で来たようです」


 刹那、霊夢が八千慧の眼前へ滑りこむ。お祓い棒で躊躇なく振り下ろされた包丁を弾き飛ばす。


 「残念、剥製にしてエントランスに飾ろうと思ったのに」


 虚空から現れ、悔しがる少女。灰色の髪と黄色い服、花柄の入った緑のスカートを穿いた少女は笑顔を浮かべて綿毛のように辺りを歩く。


 「人を珍獣のように扱わないでいただきたい」


 抗議する八千慧の後ろで天子が地面に触れる。すると、埴輪たちが土くれに戻ってゆく。だが、袿姫によって崩れ落ちた先から新たな埴輪が造られる。


 早鬼が創造と破壊が拮抗する中を駆け抜ける。降り注ぐ矢の雨。菫子がそれら全てをへし折る。菫子に狙いをつけるお空。


 「邪魔するな!」


 火球が放たれる。天子が反応。即座に岩壁を形成して防ぐ。


 『止まれ』


 一瞬、硬直する埴輪集団。天子の意識が逸れた隙を八千慧がカバーする。


 「いい子は寝る時間よ」


 八千慧を狙う包丁を持った少女、こいしを食い止め続ける霊夢。さとりは菫子を視界に収めながら、燐たちに指示を出す。


 「次、左に動きます」


 「お空、右」


 「りょーかい」


 菫子のすぐ側を火球が掠める。


 「埴輪兵!」


 菫子の動きが止まった隙を陣頭で指揮を取る磨弓は見逃さない。さとりへ突進する早鬼へ弓を放つ。だが、矢を放つよりも早く、埴輪たちは粉砕される。


 「私の【猛進(アサルト)】をこの程度で防げると思うなッ!」


 だが、突撃する早鬼を磨弓が急襲する。背後から刀を振り下ろす。だが、菫子によって埴輪を叩きつけられ、防がれる。


 「お空の援護を最優先、早鬼を止めなさい」


 さとりたち古明地組の最高火力はお空、菫子たちの最高火力は早鬼だ。つまり、この二人を援護・妨害することが戦闘の主題となる。


 「さとりッ! 今日こそ引導を渡してやるッ!」


 「お空、早鬼はもうすぐ左に曲がる。そこを狙うわよ」


 「させるかっての」


 菫子が手近な瓦礫をさとりに向けて投げつける。磨弓率いる埴輪兵が防ごうとするが質量が違いすぎる。


 「お空、先にあっち」


 お燐の指示と同時に発射寸前の火球を強引に瓦礫に向ける。着弾と同時に跡形もなく蒸発する瓦礫。


 「吹っ飛べッ!」


 「直線的ね」


 さとりはひらりと早鬼のタックルを躱す。そのまま、早鬼は背後のビルに突っ込み、倒壊させる。


 「早鬼が止まったわ、今よ」


 埴輪兵とお空が倒壊したビルに狙いをつける。放たれた火球がビルを焼き尽くす。

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