表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/53

ヤな感じ

 ──東火学園、廊下。


 廊下に響くカランコロンという下駄特有の足音。足音の主は二ツ岩マミゾウ、東火学園の教員であり、『Graveyard』のボスでもある人物だ。下駄の音を響かせて人気のない廊下を歩くマミゾウ。


 「お困りのようね?」


 マミゾウが振り向く。立っていたのは研ぎ澄まされたナイフのような雰囲気を醸し出す銀髪の女性。女性の名は十六夜咲夜。スカーレット財閥のCOO(最高執行責任者)を務めている。


 「まあの。魔理沙は騒音塔に続き2度目の失敗、天子と衣玖も(ほだ)されて裏切りおった」


 不快感を露わにするマミゾウ。本来、今回の職業体験は紫から麟が離れる数少ないタイミングであり、誘拐する絶好のチャンスだった。しかし、騒音塔で魔理沙がしくじったせいで紫が警戒を強め、最終的に職業体験そのものが無くなってしまった。


 「……けれど、騒音塔での一件を指示したのは貴方では?」


 咲夜は表情を変えることなく問う。だが、マミゾウは答えない。咲夜はため息をつき、マミゾウへ歩み寄る。コツコツとハイヒール特有の足音が冷え切った廊下に冷たく反響する。


 「どいつもこいつも勝手に動きよってからに。全く計画が進まんわい」


 「そのようね。けれど、気にすることはないわ」


 灼熱感。黄緑色の着物が朱に染まる。突き立てられた白刃が引き抜かれると共に崩れ落ちるマミゾウ。


 あまりにも華麗な暗殺劇。


 「私はお嬢様の命でGraveyard(貴方の組織)へ潜入してだけ。『聖杯』を使って世界征服しようとしていたみたいだけど所詮は小悪党ね」


 咲夜は血だまりへ倒れ伏すマミゾウへ向けて部下や構成員が勝手に動くのはトップが無能だからよと言い放ち、ナイフをホルスターに納める。


 次の瞬間、咲夜の姿が忽然と消える。静寂だけが満ちる廊下に残されたのは物言わぬ骸と化したマミゾウだけだった。




 * * * * *




 「麟ッ! 無事ッ!?」


 「? 無事ですよ?」


 「そう、なら良いのよ」


 天子からgraveyardのボスについて知った董子はすぐさま【瞬間移動(テレポーテーション)】で学園へ帰還。寮の部屋へと急いで向かった。最悪を想定しつつ開いた扉の先には最後に見たときと何一つ変わらない麟の姿があった。安堵する董子。


 翌日、開かれた緊急の全校集会にて「二ツ岩マミゾウ」の失踪が伝えられた。同時に学園が休校することも知らされた。どうにも嫌な予感がする。


 言い知れぬ胸のザワつき。


 「やな感じね」


 体育館を出た董子は曇り空を見上げ、呟く。

いつもご愛読していただき、ありがとうございます!おかげさまで3100PVを達成できました!


ブクマやいいねをされていない方はこの機会にぜひお願いします!


また、この文の下にある「☆☆☆☆☆」をタップして「★★★★★」にしていただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ