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秘封俱楽部活動記録 ~Last Occultician~  作者: 伽藍堂本舗
第二章『騒音塔は眠らない』
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 「騒音塔? 何それ?」


 ここは東火魔導学園(とうかまどうがくえん)の学生寮の一室。黒の山高帽を被り、薄紫のプリーツスカートを着た菫子(すみれこ)は視線を手元の新聞から外した。

 赤いアンダーリムの眼鏡越しに菫子から視線を向けられた麟は着ている巫女服の裾をいじりながら昔からある噂なんですよ、とゴニョゴニョと消え入るような声で続ける。


 「新聞記事が数か月前のGraveYardの事件ばっかりでうんざりしてたのよね」


 そう言って菫子は先ほどまで読んでいた新聞をぐしゃりと潰す。丸めて放り投げた新聞がゴミ箱に入ったことを見届けた菫子はより詳しい説明を麟に求める。


 「実はずっと前から学園の近くに古い塔が建っているんです」


 「ふぅん?」


 「そしてその塔からトランペットやヴァイオリンの音が聞こえるという」


 「演奏を騒音呼ばわりするなんて性格悪いわね、言い出しっぺは」


 そう言いながらも菫子の目は好奇心に満ち溢れていた。


 「学園の近くって具体的にどのあたりに騒音塔はあるの?」


 「噂では学園の近くにあるとしか……」


 菫子はまずはそこからね、と言って部屋を出る。麟が慌てて後を追う。そうして二人は図書館へとやってきた。日はかなり傾いており、図書館の中に生徒はほとんどいない。菫子は一直線に地図が置いてある場所へ向かう。


 「物理的に存在するなら地図に載ってるはずなんだけど」


 「魔導で隠されてる場合はどうするのですか?」


 「地図に載ってなければ実際に探すしかないわね」


 菫子はそう言って学園周辺の地図に素早く目を通していく。麟は菫子が目を通した地図をもとの位置に戻しながら見つかることを祈る。ひたすら地図に目を通すこと十数分、菫子が止まる。


 「見つかったんですか?」


 「ええ、多分これね」


 そう言って地図のある一点を指し示す菫子。麟が横から覗き込むと確かに塔らしき建物が書き込まれていた。ぬえの不明(アンノウン)みたいな魔導が関係してたらどうしようかと思ったけど杞憂だったみたいね、と言いながら菫子は地図をコピーする。

 麟は閉館を告げる放送が流れていることに気づき、慌てて片付けを終わらせる。そして、地図のコピーを終えた菫子と共に寮へと引き返した。


 「ギリギリでしたね」


 「残り全部コピーして持ち帰ることにならなくて良かったわ」


 そう言って菫子は地図のコピーをベッドに広げる。覗き込む麟。菫子は広げた地図にペンで印をつける。印をつけた菫子は麟にそれらしきものを見たことがあるか尋ねる。


 「学園の敷地外なので私は近くを通ったことすらありませんね」


 「近くを通ったことがないなら見たことはないか……」


 大きく息を吐きだす菫子。そして大きく柏手を打つ。


 「よしッ、場所の検討はついてるんだし探しに行くわよ」


 「今からですか!?」


 「そんなわけないでしょ、次の休日よ」


 ──次の休日。二人は地図にあった塔があるであろう場所へと足を運んだ。

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