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本当の魔導師達  作者: ライニー
3/5

第二話「初めての魔法」

村に朝が来てレビィは朝食を軽く済ませると家を飛び出しすぐに村で唯一の宿屋に向かおうとしたがツリーハウスの梯子を下ると昨日来た二人がいた。


「いや~昨日待つよなんて言いながら結局答えを聞きたくって来ちゃった。」


メルが少し恥ずかしそうに頭をかきながら言った。


「あっあの!」


メルの言葉を覆い隠す様にレビィが切り出した。


「魔法って…面白いですか?」


レビィはメルの方を見ながら聞いた。


「あぁ、面白いよ。」


即答だった。


「魔法って怖いですか?」


レビィは今度はカナンの方を見て聞いた。


「怖いよ。でも俺は知らないまま終わる事より怖いものは無い。」


そしてレビィは再びメルの方を向いた。


「魔法って自分の全てを捧げたくなるものですか?」


「少なくともアタシはそうだね。」


「あなたについていけば、僕も父の様な…魔導師になれますか?」


「いや、私はお前の親父以上の魔導師にしてしてみせるさ。」


レビィの問いにメルは自信満々で答えた。


「では僕からもお願いします!父の選んだ道を、父の生き様を知りたいんです。」


レビィは深く頭を下げた。


「本当に良いんだね?君はこのままじゃ犯罪者になるよ?」


カナンの警告にレビィは無言でうなずいた。


「決まりですね。」


「ああ!アタシも久しぶりに教え甲斐がありそうな奴を弟子に出来た!」


カナンは少しホッとした様子で、メルの方は新しいおもちゃをもらった子供の様に嬉しそうな顔をしていた。


「良し!じゃあ早速やろう!ここいらで多少暴れても大丈夫な所はあるかい?」


メルは待ちきれない子供の様だった。


「え?い…今からですか?」


「レビィ君、残念だけど師匠はね、魔法が絡むと誰よりも歯止めが効かないんだ。やると言ったらやるよ。この人は。」


カナンの忠告に嫌な予感を感じつつ、レビィは村から少し離れた全く手入れされていない岩山に二人を案内した。


「ここなら…その…多少暴れても大丈夫だと…思います。」


レビィは二人が、特にメルの方が何をしでかすのか全く予想出来ず、少し警戒していた。


「じゃあ早速やるか、ほれ。」


メルはレビィとカナンに二つのきれいな緑色の玉を渡した。


「な、何ですか?これ。」


「これは魔導玉といってね。どんな魔法を使うにもまずは得意不得意を知らなけりゃならない。ただ魔法と言っても種類は沢山ある。

家の中でカナンが見せた基礎属性魔法を初めとして体に魔力を流して身体の強化を行う身体強化魔法。

身体強化魔法と原理は似てるが魔力の流し方を変える事で傷を治す回復魔法。

人の精神に干渉して人を操ったり記憶をいじくる精神魔法などとにかく種類が多い。

この魔導の宝玉はどの魔導師になるにも絶対必要な基礎属性魔法の何が得意かを見る事が出来るわけさ。

右手の宝玉が主属性、要は最も得意な属性の魔法を見る。

最も得意だからこっちは基本的には一色のみ出る。

左手がその他にも使える属性で副属性と呼ばれる。

左の色は複数あっても珍しくない。両手に出なかった色の属性は使うことは出来ないぞ。

ちなみに左手の色が緑になった時はシンプルと呼ばれ、右手側の属性しか使えないがその分才能がある奴が多い…らしい、あくまで噂程度だがな。

色分けとしては赤が火、青は水、水色は氷、黄色は雷、黄緑は風、茶色は土、黒が闇、白は光ってとこだ。

じゃあカナン、まずはお手本だ。」


「分かりました。」


そう答えるとカナンは深呼吸して宝玉を握りしめた。するとすぐにカナンの両手から光が漏れだし、収まると右手の玉は水色、左手の玉は青色になっていた。


「まぁ見ての通りカナンは氷魔法が一番得意で他に水魔法が使えると言う事になる。

さぁさぁ、次はレビィの番だ。」


メルがまた待ちきれない子供の様に言った。


「え?いや…あの…これってどうやるんですか?」特にやり方を説明されなかったのでレビィは困惑していた。


「簡単さ、ただ握りぁいんだよ。」


「は…はい。」


レビィはさっきカナンがやった様に深呼吸して宝玉を握りしめた。両手ともに光った。


「ひ…光った!」


「良し、じゃあ早速見せてくれ。」


「はい!」


レビィは思い切って手を開いた。メルもカナンも食い付く様に見つめた。しかしすぐに二人共かなり不思議そうな顔になった。右手の宝玉は最初の緑色のままだった。そして左手の宝玉は赤と白がきれいに半々に分かれていた。


「あ…あの、この場合僕は何が一番得意なんでしょうか。」


「う~ん。アタシもこのパターンは初めて見るなぁ。」


レビィの問いにどう答いか分からずメルも少し自信なさげだった。


「まぁ火属性と光属性が得意だってことですからまずはそっちを教えましょうよ。」


この場はひとまずはカナンが話をまとめた。


「ああ、そうだな。少し釈然としないが教えるべき事は分かったんだ。次のステップに移ろう。この結果はあまり気にする事はないからな。レビィ。少し珍しいだけさ。それに、実はアタシの方が変だよ。」


メルはそう言うとレビィから宝玉を受け取り、握りしめた。両手が光り、両手を開くとレビィとは違い、右手の宝玉がメルが先程言った色が全て均等に分かれていて左手の宝玉が緑だった。

「ど…どう言う事ですか?これ?」


「アタシはね、特にこれが一番得意!って魔法はないが、全ての基礎属性魔法が使えるんだ。個人的にはアタシは闇属性が一番使いやすいと思ってるけど何回宝玉を握ってもこうなる。さぁ!余計な話はここまでにして、早速次のステップにいくよ。」


そう言うとメルはレビィに杖を渡した。


「いいかい?人の体には血が流れるのと同じ様にマナと言う力が流れてる。このマナが魔法を使うのに必要なんだ。このマナが形を変えて火になったり光になったり出来る訳だ。当然難解な魔法であれば使うマナも多くなるがマナは体外では一箇所に留める事が非常に難しい、そこで触媒の出番だ。

例えるならコップだな。液体をそのまま運ぶ事ができないからコップに水を貯めてその水で魔法を作るって感じだ。

だからマナを最大限使うには杖の様な触媒、まぁ簡単にいえばマナを体の外に溜めて飛ばす為の物が必要だ。」


そう言うとメルは杖を取り出した。


「杖は触媒としては入門に最適で、本来樹木が自分の体に水や栄養を送る為の管があるんだがその管にマナを流して杖にマナを溜めて外に出す。と言った流れだ。

他にも触媒として使われる物はあるがまぁそこら辺はいつかまた説明しよう。

今はとりあえずマナを扱う感覚を覚えるのが先だ。

さぁレビィ、まずは火属性の基本中の基本ファイアボールだ。

いいか?魔法を使うには何よりもイメージが大切だ。だから慣れるまでは使おうとしている魔法の内容を復唱する方がやりやすいんだ。

だから今からやる事は杖を構えて真っ直ぐに飛んでいく火の玉を想像しながら「出でよ!」とか「出ろ!」と言って「火の玉ファイアボール!」と唱える。慣れれば詠唱無しでも出来るんだが初心者じゃ無理だ。さ、やってごらん。狙いはあの枯れ木だ。」


「え?い、いや…それだけですか?なんと言うかその…子供のごっこ遊びみたいな。これぐらいだったら僕も小さい頃に沢山やったんですが…」


「ハハハ、ごっこ遊びか。やることは大して変わらんな。だけどなレビィ、同じ事を子供がやっても結果はでらんぞ。レビィ、そういやお前は今何歳だ?」


「13です。」


「13か、さっき言った魔法を使うのに必要なマナは10歳を向かえてからようやく体内に蓄える量が増えてきて魔法に使える分が出来てくる。でも10歳ぐらいになったらまず子供は杖持って魔法使いごっこなんてやらんからな。だから偶然一般人が魔法を使った。なんて事はまず起こらん。まぁとりあえずやってみなよ」


「は…はい。」


自分の思っていたのとは全く違う簡単な説明にレビィは少し不安になってきた。それでもメルに言われた通りに杖を構え意識を集中した。すると杖からキィィンと透き通った音が鳴った。


「さぁ!初めて使う魔法だ!思いっ切り声出しな!」


「はい!出でよ火の玉!ファイアーボール!」


レビィが唱えると親指程度の火の玉が出てきて枯れ木に当たる前に突風で消えた。あまりのショボさにレビィは不安そうに振り返った。


「アッハハハ!凄いじゃないか。初めてなら煙が出ただけでも上出来と言われるんだから、まぁ見てな。アタシが手本を見せてやるよ。」


メルが杖をレビィから受け取り


「出でよ火の玉!ファイアーボール!」


メルが唱えると人の頭程の大きさの火の玉が出て一直線に枯れ木に向かい一瞬で枯れ木を炭にした。


「す…凄い」


さらに哀れな姿になった枯れ木にレビィは啞然とした。


「どうだい?やり方はさっきのレビィと全く一緒だろ?

さっきのはレビィがまだマナの扱い方に慣れていないだけでいずれはこのぐらいなんて簡単に出来る様になるさ。

さ、まだまだやるぞレビィ。魔法は何度もやることが一番大事だ。少しでも感覚をつかまないとな。」


「はい!」


それからレビィは何度も同じ魔法を昼頃まで唱え続けて火がでることもあれば煙しか出ない時もあるなど結果はマチマチだった。


「おーいレビィー。そろそろ休憩しようやー。」


「ま…まださせてください。」


レビィはヘロヘロな声で続けようとして杖を構えた。


「出でよ火の玉ファイアー…」


しかしレビィの視界はどんどん横に傾いていった


「あ…あれ?」


そのまま地面にドサッと倒れた。意識ははっきりとしているのに体が全然動かなくなってしまった。


「あらら…だから休憩しようって言ったのに…大丈夫かぁ?」


メルが若干呆れ気味でレビィに歩み寄った。


「あ…の…こ……れ…」


レビィはかすれた声で必死にメルに話しかけようとした。


「無理に喋んなよ。ちょっと待ってな。」


そう言うとメルはレビィの頭に手をかざした。するとメルの手が淡く光り出した。その光はレビィの体に吸い込まれていった


「よし、こんくらいで良いだろ。どうだ?気分は。」


レビィの体はさっき倒れたのが嘘のように起き上がった。


「は…はい凄く良くなりました。でも今何をしたんですか?というか…そもそも僕の体に何が起こったんですか?」


レビィがメルに聞いた。


「まぁまずは休憩しようか。ちゃんと休憩がてら説明するからさ。」


メルはレビィをとりあえず座らせた。


「良いかい、マナってのは普段体を動かすのにもほんのわずかだが使われるんだ。

それでさっきのレビィはマナを一気に使いまくってしまってレビィの体がこれ以上マナを使われてしまうと呼吸すら出来なくなってしまうと判断してそうなる前に無理やり体がレビィの行動をほとんど制限したって感じだな。」


メルは指先から光の線を描きながら説明を始めた。


「つまり僕のその…マナが無くなりかけたって事ですか」


「あぁそうだ、いわゆるマナ切れってやつさ。特にこれ初心者にはよく起きやすい。今までに使った事がないレベルのマナを使ったわけだから余計に体がびっくりしてストップをかけやすいんだ。

で、今アタシがやったのはレビィにアタシのマナを注いだんだ。マナの回復方法としては一番手っ取り早いんだが吸収効率は良くないからオススメはしないな。他にもメシを食うとかあるが一番良いのは休むことさ。という訳で今から休憩しようやレビィ、急いでもロクな事ないぞ。」


「はい…そうします。」


レビィは近くの切り株に腰をかけた。


「なぁレビィ、休みながらで良いから今後の目標について話していいかい?」


メルが切り出した


「あ、はいお願いします。」


「ん、分かった。」


そう言うとメルは地図を取り出して地図の右上を指さした。


「今アタシ達がいるのソルバって国だな。で目的地が…ここだ」


メルは地図を指でなぞり左下の島を指さした


「あの、ここはなんの場所なんですか?」


「ここはハルハって言ってな、通称魔法使いの国と呼ばれてる所だ。ここでレビィとカナンはある試験を受けてもらう。」


「試験ですか?それにカナンさんも?」


「あぁ、実は今ここにいる中では魔導師はアタシだけなんだ。魔導師ってのは正式には弟子を持つことを許されている者達のことでカナンやレビィはまだその弟子にあたる魔法使いと区分されるんだ。

そしてハルハでは魔法使いから魔導師への昇格試験が行われる。この試験で合格すれば弟子を持つことも許される。

それにこの試験は特にレビィ、お前にとっては絶対に合格したほうが良いぞ。」


「え、何でですか?」


「今のレビィは言っちまえば犯罪者だ。だがこの試験に合格すればその罪も免除されるんだ。」


「え、それは本当ですか!?」


「あぁそうだとも、ハルハは領地こそはそんなに大きくは無いが魔導師や魔法使いの数が世界中の半数と数が多いし他国にも優秀な魔導師を貸す等しているんだがこれのおかげで他国に対して強い発言力を持っているから他国もハルハとは仲良くしたいんだ。

そんなハルハが魔導師となった者の罪をある程度免除すると公言しているから他国も従うって感じだな。…言っとくがあくまで免除されるのは無許可に魔法を学んだ事だけだからな。何か別で犯罪を犯したらその場で捕まるからな。」


「案外乱暴なんですね…」


レビィは若干呆れ気味だった。


「まぁそう言うなよ、だがハルハも誰でもOKと言う訳では無い。試験を受けるにはあるものが必要だ。」


「あるもの?」


レビィが首を傾げた。


「それがこの契約書…なんだよカナン」


カナンがメルの説明を遮る様に彼女の肩をポンポンと叩いた。


「師匠、何度も聞きますが説明だけですよね?」


カナンの表情はかなり不安げだった。


「当たり前だろ、お前そんなにアタシが常識外れに見えんのか?」


二人はレビィを完全に置き去りにして話し合っていた。


「あ…あの、その紙は何なんですか?」


「ん?あぁごめんごめんこっちだけで話しちゃって、

良いかい?この契約書はアタシがレビィを弟子にする事を認める物となっているんだ。

この契約書自体に魔法が掛けられていて名前を書いた人物の魔法使いとしての実力、使える魔法の種類、そして魔法で私利私欲の犯罪を犯してないかを知ることが出来る。

ちなみに書くなら名前と血版が必要だ。」


「そうなんですね。では早速…」


レビィが契約書を手に取ろうとするとメルは契約書を上に上げた。


「まぁ話は最後まで聞けよ、この契約書を書くんなら注意しなきゃならんことがある。もう分かってると思うが契約書を書いたらアタシとレビィは犯罪者となる。さらにアタシ達の当面の敵にもそれが知られてしまう。」


「え?て…敵ですか?」


平和な農村で育ったレビィには聞き慣れないワードが飛び込んだ。


「その敵とは魔法騎士団。簡単に言えば魔法による犯罪を取り締まる連中だね、世界各国に支部があり魔法犯罪が起こっていないか見張ってる。それでこの契約書を書くとその情報が魔法騎士団に送られるって仕組みだ。」


「な…成る程…ちなみにもしその魔法騎士団に捕まったらどうなるんですか?」


レビィは恐る恐る聞いた


「まずアタシは死刑だね、レビィは魔法をどこまで覚えたかによるけど基本的には魔法に関する記憶の消去だろうね。」


メルの回答にレビィは息を呑んだ。


「だからレビィ君、俺が反対しているのは君がこの契約書にサインすると直ぐにこの村から出ていかなければいけなくなるんだ。まだなんの準備もしてないだろうしそれに村の人達に挨拶もしなきゃいけないだろう?」


カナンの言葉にレビィはハッと気付く。


「そ…それもそうですね。すいません、迂闊でした。」


レビィはうつむいた


「あぁそういやそうだね。アタシもそういうのをすっかり忘れてたよ。アッハッハ。」


メルは頭をかきながら笑った。


「師匠はもう少し社交辞令と計画性を身に着けてくださいよ。」


カナンは顔に手をあてて呆れていた。


「まぁ挨拶なら直ぐに済むんじゃないか、そこに隠れてるみたいだし。」


メルは近くの森の方を見た。


「え?」


レビィがメルの見た方に振り向いた。すると視線の先の森に人がこちらを覗いていた。


「モ…モンドさん!?」


「い…いやぁばれちゃったか〜。」


モンドと呼ばれた男が立ち上がるとそれに続いて次々と別の男が顔を出した。


そこには昨日メルと酒場で飲んでいた男達がいた。


「それに皆も…何してるの!?」


「何ってお前が心配だったからだよ。昨日の酒の席でその魔導師のねーちゃんがお前を弟子にしに来たって言うから家を教えたちまったけどもし悪い奴だったらどうしようかと思ってよぉ。それに…」


モンドは言いにくそうな顔をした。


「それに?」


レビィが首を傾げるとモンドはメルの方を見た。


「なぁメルさんだったか、さっき言っていたのは本当なのか、レビィが犯罪者になるのは、俺はてっきり魔導師が持ってるって言う弟子を一人自由に決めれる権利を使うのかと思ってたがちがうのか!?」


「あぁ本当だとも、その権利はカナンに使ったからね。」


メルは悪びれる様子もなく答えた。


「…じゃあ悪いがこの話は無かったことにしてもらう。この子を任せるにはあなた達は信頼出来ない。」


モンドはレビィの腕を掴み引き寄せた。


「ちょ…ちょっと待ってよモンドさん!僕は本気なんだ!」


レビィはモンドの手を振り払おうとした。


「レビィ、悪いが家族同然のお前を危険な目には会わせたくないんだ。分かってくれ。」


モンド達はそのままレビィを連れて行こうとした。


「そこまでにしときなさい。」


年老いた声がモンド達を止めた。モンド達が声の方に振り向くとそこにはミラがいた。


「全く…図体の割には臆病な奴らだね。その子がやりたいと言ってるんだ。させてやればいいじゃないか。」


ミラは溜め息混じりにはなした。


「でもさミラばあ、この子の将来に関わる事なんだからもう少し慎重に選んだ方が…あ痛」


モンドが言い切る前にミラは持っていた老人用の杖でモンドの頭を叩いた。


「この子の母さん…ロタは魔導師になれるチャンスがあったのに体が弱かったから諦めたのを忘れたのかい?仕方がないとは言えあの時のロタは本当に可哀想だった。

だがレビィは違う。若い者のチャンスを奪うんじゃないよ。

確かにこの魔導師達は会ったばかりで信用出来ないかも知れない。だけど私達が信じるのはあの二人じゃ無くてレビィ自身だよ。私達に出来るのは精々この子を気持ち良く送り出す事さ。」


モンド達は何も言い返せ無かった。少しの沈黙が続いた後モンドは自身の両頬を手で叩いた。


「ミラばぁの言う通りだろうな。よし!お前ら!今からレビィの送別会の準備だぁ!村の皆でレビィを気持ち良く見送ろうじゃないか!」


オォーーと男達が叫びすぐに送別会の準備を始めるため散り散りになった。


レビィと魔導士2人とミラだけがその場に残った所でメルがレビィに近づいた。


「いやぁ悪いね。久々の新弟子だったからつい周りが見えなくなってたよ。ひとまず話が進んで良かったよ。とりあえず契約書に関しては保留だな。魔法の特訓もここまでにして今は旅の準備をしたほうが良いかな。」


「はい、そうします。」


ひとまずレビィは家に帰りメルに何がいるのか聞きながら旅の準備をした。


「必要なもんと言ってもアタシらが大抵の物は揃えてっから要るのは精々寝袋ぐらいだね。」


準備は着々と進んで行きそして夜が来た。


村の住民全員が広場に集まり豪華な食事や陽気な音楽によるレビィの送別会が開かれた。


「わぁ…凄いや。」


レビィがあっけにとられていた。


「よぉレビィ!ちゃんと食べてるか〜?」


モンドがレビィの背中を強く叩いた。


「うん、ちゃんと食べてるよ。」


そう答えるレビィの皿をモンドは凝視した。


「いんや足りねぇ。旅に出るんだからもっと食わなきゃな。」


そう言うとモンドは料理を大量に取ってきてレビィの皿に乗せた。


他の村人達も「そうだそうだ」とどんどんレビィの皿に乗せていきとてつもない量になった。


「レビィ、本当に行っちゃうのかい?」


今度は村の女性達が何人かレビィの方に来た。


「うん、もう決めたことなんだ。」


「寂しくなるねぇ。」


そう言うと女性達はレビィを抱きしめたりそのまま頭を撫でたりと別れを惜しんだ。


「よぉ、人気者だねぇレビィ。」


メルが酒樽を担いで来た。あまりにも異質な光景にレビィは固まった。


「メルさん…あ…あの、それは…」


「ん?あぁコレ?好きなだけ飲めと言われたから貰ってきた。」


メルは酒樽をドンと置き飲み始めた。


「我ながら随分と急ぎ足で話を進めちまったけど明日出発だな。」


「はい、正直実感がないですね。アハハ…」


レビィは自信なさげに髪の毛をかいた


「ハハハ、無理もないか。ところでレビィ、これなんだが…」


メルは再び契約書を出した。


「書いてくれるかな。まぁ別に明日でもかまわないが。」


「あの、これを書いたら魔法騎士団が直ぐに来るって事はないですよね?」


「あぁ、ここから一番近い魔法騎士団の拠点からでもここに来るまでに少なくとも3日はかかるからここに迷惑はかからないと思うが。」


「分かりました。では今書かせてもらいます。」


「そうかい、じゃあはいコレ」


レビィは契約書にサインをしてナイフで指先を少し切り血版を押した。


「よし書いたな、じゃあ面倒だが一応決まりなんでな。」


メルはコホンと軽く咳払いをした。


「アタシ、メル・アルスターは一介の魔導師としてレビィ・ロットの師となる事をここに誓う。」


メルの宣誓に応えるかの様に契約書が白い光を放った。その後すぐに赤い光を放ち光が破裂したかの様に飛び散った。


「普通あんな感じなんですか!?」


レビィは目を丸くして聞いた。


「いや普通は最初の白い光で終わりだ。赤く光ったのは法の下では認められない弟子だったからだ。これから大変だがよろしくな。」


「はい。よろしくお願いします。えっと…お師匠様。」


「メルで良いよ。あとこの契約書はお前が持っときな。」


メルが契約書をレビィに渡すと二人の周りを村の住民達が囲っていた。


「ねぇレビィ、今の何?もしかして魔法!?」


「う…うん、僕がやった訳じゃないけど、」


「ねぇねぇもっと見せて!」


村人達が押し寄せレビィの周りは人だかりができた。


メルはその中をするりと抜けて席に座り飲み始めた。するとそこにカナンがやって来た。


「本当に書いたんですね。」


「おぅよ、旅に出たらすぐにでも今日の続きを教えたいからな。だから済ませる事は直ぐにしといた方がいいだろ?」


「それはそうですけどもし魔法騎士団が来たらどうするんですか。」


「大丈夫だろ、時間的にも無理だし仮に来たとしても精々見習いレベルだよ。それよりカナン、お前もあっち行って氷像でも作って盛り上げてこいよ。」


メルはレビィのいる方を指さした。


「はいはい分かりましたよ。」


カナンは肩をすくめた後レビィの方へ向かった。


人混みを抜けレビィの横に立つと杖を出して横に降ると龍の形の氷像が一瞬で出来上がった。「おぉ…!」と歓声があがり男達は氷像に釘付けになり一部の女達はカナンに釘付けになった。


「やっぱモテるなアイツ。」


メルはその光景を肴にし飲み始めた。


一方で彼等から離れた所で女性達が話しこんでいた。


「妹から手紙が届いたんだけどあの子熊に襲われたって書いてあったのよ。」


「えぇ!?大丈夫だったの!?」


「腕を怪我はしたけど命に別状は無いって書いてたわ。」


「あら~良かったわねぇ〜。でも大変ねぇあの子嫁いだばかりなのに。」


「まぁでも熊はもう退治されたらしいのよ。なんでも…えっと…あほう騎士団?の凄い人が来てるらしくて山に入るなりあっと言う間に熊を仕留めたんだって、名前はともかく凄い人達がいるのね〜。」


「あら!そうなの!?凄い人達なのねぇ。でも本当にそんな名前なのかしら?ちょっと信じられないわ〜。」


広場の隅っこで行われた雑談に誰も関心を示さぬまま時間は過ぎ送別会が終わるまでメルは飲んで騒いでカナンは村人達からの氷像のリクエストに応え続けてレビィは村人達との思い出話に花を咲かせていった。

はいどうも第二話でございます。正直他の人の投稿ペースとか全く分かんないんで早いのかなんて分かりませんが遅いのは確かなんでしょうね。相変わらず誰も見てない作品だからええかと世間を舐めきってますがどうかよろしくお願いします。・・・後書きって案外書くことないもんですな。

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