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本当の気持ち

作者: 秋川花

〇〇〇〇

身長 ㎝ 体重 秘密

小学 5年生 おひつじ座


全校集会の時はいつも、1番前に並ばされる

それは仕方ない、私が小さいからだ、昔から一番前で両手を腰に当てて隣の人とぶつからないように間隔をとっていた。この並びかたを考えた人は天才だ。効率的かつ画期的である。


私は中学生になった

学校は〇〇だった

閉鎖的な空間に、見ず知らずの男女が入れられて、はい今日から皆さん仲良くしましょう、今日から仲間ですよって言われているみたいだ、私にはこの水は合わない、もし自分が魚だったら一週間足らずで死んでいたと思う。この水を美味しいと思って過ごす生徒もいれば、そうでないように人それぞれ違っていいと私は思っていた。けど、学校とは恐ろしいもので、本当は思わないけどこの水を美味しいと思えるように、自分に嘘をついて生活している人もいる。そして、自分を見失う。私は誰だ。


私のクラスに空気ちゃんと呼ばれる人物がいる。彼女は、周りとは一切関わりを持とうとせず、自分の空間を作り出して生活していた私は、彼女のことをかっこいいと思っていた私にはない魅力があり、嫌なものは嫌であるとはっきり言えるタイプであると思っていた


私が空気ちゃんと関わりを持ったのは、修学旅行の班決めの時だ、女子と男子合わせて5人のグループを作らないといけないことになり、私は唯一の友達である、アカリと一緒にグループをつくることにしたが、ここからが大変だ!戦争の始まりだ!残りの3人をどうすればいいのか!私は、冷や汗をかきながら考えていたところに、空気ちゃんがやってきて私もグループに入れてと言ってきた。私は内心びっくりした、空気ちゃんとは入学してから一度も話したことがなかったからだ!どうして、私のグループにきたのか、ここが一番自分の水にあっていると思ったのか、謎であったが私は、空気ちゃんとグループをつくり、残り余っていた男子2人を引き入れて5人グループを作った。私は肩を下ろし、ため息をついた、「良かったこれで安心」グループもつくれない可哀想な人って思われなくて済んだと思った。

修学旅行先は、京都であった。わざわざ男女でグループをつくり、グループで回るなんで馬鹿げてると思ったが、仲良い人どうして回るなら楽しいだろうなとも思った。私は、不安しかなかった、だって仲良いのがアカリしかいないから、ちゃんとはなしができる人が一人しかいない。アカリとは同じ部活で、部活でもアカリと常に一緒にいる私は、他の人と仲良くするなんて拷問に近いと思っていた

「えっと…どこ行きたい?」

「…………」

空気ちゃんは、旅行先の観光本の表紙を眺めていた

男子の一人が話しだした

「お寺とか…?」

「いっいいね!お寺っ!そうしよっ!どんなお寺がいいかなぁ」

空気ちゃんが私を見た、無表情でこちらを何とも言えない目で見ていたのが気になったが私は気がつかないふりをして過ごした


旅行先を決めた後は、どっと疲れた、私ああいうの得意じゃないんだよなぁと思いながら帰ろうとしていたら、空気ちゃんが話しかけてきた「大丈夫?」えっ?第一声がそれ?

「なんか、〇〇さん頑張ってたから疲れてないかなって思って」

空気ちゃんにはなんでもお見通しだ、

「大丈夫だよ!それより楽しみだね修学旅行」

「私は、できれば行きたくない、親に行けって言われてるからか行くだけでほんと、〇〇だよ」

そうだったのか、私とおんなじだ

私も修学旅行なんか行きたくない

「なくなればいいのにね修学旅行」

空気ちゃんは笑った


なぜ、人間は自ら破滅の道に進むのだろうか嫌なら逃げればいいそんな動物としての本能さえも忘れてしまった

私は誰だ。


修学旅行当日となり、周りはワイワイと騒いでいた。私は相変わらず話もせずアカリの横座り、これから乗る新幹線を待っていた。

つまらないだろうな

私はそう思いながら、新幹線に乗った。新幹線では、駅弁が美味しかった。新幹線での唯一の思い出である。私は、ふと空気ちゃんが気になった。どうしているんだろうか、新幹線には一人で乗ったのだろうか、誰の隣に座っているのだろうかそんなことを考えながら、新幹線は京都に向かっていた。


京都に着いた時は、周りにいるメンバーは変わりないけど、別世界に来たような感覚に囚われた。京都ってすごいな。ろくに地元の田舎で育って年に何回か行く隣県への旅行しかない私にとって、あたらしい世界が広がったと感じた。周りのみんなも景色を見渡して感動しているのか、新幹線に乗る前と比べ、空気が変わった気がした。

「じゃあ行きますよ」先生の掛け声でハッとして現実に戻る

そうだこれは修学旅行だ、家族旅行みたいに自由にできない。周りに合わせなきゃ、私はそう思い先生の後ろについて行った


最初に行ったのは、今晩泊まる旅館である。昔からある建物でちょっと怖いなと感じたが中は明るく、私たちを出迎えてくれた。女子は、6人部屋であり、私、アカリ、空気ちゃん、その他3人の女子メンバーで宿泊することになっている。他のメンバーと仲良くやっていけるかなって思っていたが、他の3人は3人同士で固まり全くこちらに、興味もなくさっさと部屋に荷物を置いて、部屋から出て行った。私も最低限の荷物を持ち、みんながいるロビーに向かった。ガヤガヤとうるさい。興奮してるのは分かるがもう少し静かにできないのだろうか。

その後、クラスごとに観光地をまわることになっていた。また、バスでの移動だ。お尻が痛い。私は、ボッーと景色を眺め、周りの喋り声に少しイライラしながらバスに乗っていた。アカリは、バスの真ん中の通路を挟んで反対側にいる、クラスの女子と話していた。私がボッーとしていて暇なのであろう。バスから見える景色は新鮮だ。それだけで楽しい、それだけでいい。平和に過ごせれば。 観光地を一通り周り、京都の歴史にふれた。すごい体験だと感じた、普段の学校じゃ絶対に味わえない体験だ、私は、この空気は嫌いじゃなかった。ずっと観光地を見て、ぶらぶらとしていたかったが、夕飯の時間となり旅館に戻った。旅館では、部屋で6人でご飯を食べる。食べるご飯は決まっており事前にアンケートをとり、5つの項目の中から自分の好きなメニューを選ぶものだ、私は、なんでも良かったから、周りの話し声を聞いてみんなが食べたそうなものに丸をつけた。結果が豚の角煮であった。角煮は思っていたものよりは小さく、この旅行のメインデッシュだと思っていたので正直旅館の人は、ケチだと思った。経営苦しいのかな?それとも角煮ってこのぐらいが普通なのかな?高級料理店みたいに、小さな料理がたくさん出てくるように。私はご飯を食べ終わり、アカリとお風呂へ向かった。お風呂場はごちゃごちゃしており、ものすごく入りづらかった。時間帯間違えたかなぁ、もうちょっと遅く行けば良かったと思った。私は、大浴場が嫌いだ、一人でゆっくりと入りたい。人に見られるなんてまっぴらごめんだ!私は、アカリに混んでるからやっぱりもう少し後にしない?とは言えずに、お風呂に入った。部屋に戻ると空気ちゃんとその他3人もどこかへ行っており、アカリと2人きりとなった。

「はぁ」無意識にため息が出た

アカリが「どうしたの?」と聞く

私は無意識だったため動揺した、あれ?だめだ!つまらないって思ってるって、アカリに思われてはいけないと思った、けどアカリだけならアカリになら私の本心を伝えられるかもしれないと思った

「うんと…疲れたなって思って」

「疲れたの?」

「うん」

「なんで疲れるの?だって何もしてないじゃん、バスや新幹線に乗ってる時もボッーとしてたし観光名所まわっただけじゃん」

私は言葉が出なかった。確かにその通りだ、けど体は嘘はつかない、私は疲れている、もう倒れ込みたいぐらいに


この場所から逃げ出したい

そんな簡単にいくならいいけど、人生

ここから抜け出せるには、自分で頑張らないと行けないのに体が動かない。体は正直物だ、私なんかより利口だ


次の朝になった

夜はよく眠れなかった。他の女子メンバーが恋バナで盛り上がっていて、私とアカリ、空気ちゃんは先に寝たが、話し声がうるさくて全然眠れなかった。そのせいで、誰が誰を好きだとか丸分かりであった。全く興味はなかったが、小川という男がモテるらしい。アカリが私に話しかけてきた

「昨日の話聞いてた?」

「うん、全然眠れなくて」

「私も、全然眠れなかったよ、旅館の部屋から自分の部屋にどこでもドアがあって、自分の部屋に戻りたかったよ笑」

「本当に!そうだよね笑

 そういえば…小川くんってどんな人?」

「うーん?小川?変なやつだよ、何考えてるか分からないし、なんか大人ぶってるし」

「そっか…モテるみたいだけど」

「さぁ、顔は悪くないし、クラスの人気者だからじゃない?」

「アカリは話したことある?」

「一回だけね、あの人、クラスの委員長とかいろんなリーダーやってるから、そん時に」

「すごいな」私とは正反対だと思った。

「でも、小川とは関わらない方がいいよ、いろいろと事情かかえてるみたいだから」

「事情?」

「私もよく分からないけど、家が相当厳しいらしい」

「そうなんだ…」

時間だ、そろそろ集合しないととアカリは言い、そこで話は終わった。けど私は、小川くんについてとても気になり頭から離れなくなった。

小川くんは2年3組、ちなみは私は2年1組

小川くんとは、委員会が同じであった。環境整備委員である。小川くんが委員長であった。たんたんと委員長の仕事を勤め上げていた。小川くんの笑った顔を見たことがなかった。小川くんは不思議な人だ。


修学旅行2日目は、ついに班別行動である

ついにきてしまった…と私は思った。

班別行動では、事前に決めた予定を遂行するのみで、楽しみなんてものは何もなく、無事に過ごせればなんでも良かった。でも、その甘い考えが良くなったっていうのは、後で気がつくことだった。最初に向かった、学業成就で有名な神社に向かった。来年は受験であり、そのこともふくめてここがいいのではないかという話から決まった。私自身、勉強は好きではないけど、しないといけないもので、勉強しないと良い高校へも行けなくて、将来が大変だよって言われたからしているだけで、しなくて良いならしたくはない。神社を参拝した後、各々でお守りを買ったり、神社の中を見たりしていた。そこに、同じクラスの別の班のグループがやってきて、1人の女子が私とアカリに話しかけてきた。その子は、アカリの友達で私自身あまり仲は良くなかった。だから、正直気まずかった。

「アカリたちもここの神社だったんだね」

「そうだよー、学業成就を狙いにね」

アカリは、その子と話して楽しそうだった。私は、空気になろうとした。

「アカリたちは、次はどこに行くの?」

「私たちは、次はお寺に行くよ」

「そうなんだね!私たちは、これからジェラート食べに行くんだー」

「そうなんだー」

アカリが羨ましそうにしていた。

「ねぇ、他の班の子もしてたけどアカリもこっちの班にきたら?そしたら一緒にジェラート食べれるよ」

私は、心臓がドキリとした。アカリが別の班に行ってしまう。私は、アカリの顔を見た、アカリは、嬉しそうな期待したような顔でその子を見つめていた。私は

「アカリが行きたいなら行きなよ、折角の修学旅行だしさ」と答えた。

「本当にーやったーいいのー?別々になっちゃうけどごめんね」

そう言って別の班と合流した。

私はなんとも言えない気持ちになった。

その後、私たちの班の残りのメンバーに今あった事を説明した。すると、男子2人組が

「じゃあ俺らも2人で行動して良い?そっちの方が気が楽だし」と言ってきた。私は、本当はそんなことはしてはいけないけど、アカリの別の班への移動を許してしまった以上、断りづらく、なくなくオッケーを出した。空気ちゃんはずっと黙ったままだった。決めた予定は、全て無意味となり。空気ちゃんと神社にあるベンチに腰掛けた。私たちは、何分か黙ったままだったけど、突然空気ちゃんが話しかけてきた

「どうして、アカリさんを別の班に移動するのを了解したの?」

私は、言葉が詰まったが答えた

「アカリが私の友達だから、嫌われたくないから…」

空気ちゃんは

「私には、友達がいないから〇〇さんとアカリさんがとても羨ましく感じたんだけど、そうでもないみたいなのね」

「それってどういうこと?」

私は、しかめっ面で空気ちゃんをみた

「本当の心で通じ合ってる友達ってこと、本音を話せて、自分をさらけ出せるの、気なんてつかわない、自然体でいられる本当の友達」

私とアカリは、心では通じ合ってなかったのだろうか、名ばかりの友達で本当の友達ではなかったのだろうか…私は考えた…

私は、嫌われるのが怖くて、アカリの顔色ばっかり伺って…でも、一人になるのがこわくて、だったら気を遣ってでも一緒にいる人が欲しかった。周りから、友達のいない惨めな人だと思われたくなかった。

「アカリは、私の事を本当の友達だと思ってくれていたのかな?」

「それは、アカリさんに聞いてみないと分からないけど、〇〇さんは、アカリさんといてどうだったの?」

「私?私は………」

言葉が詰まって出てこなくなった。

「私は、何も感じてなかった。私は感情をどこかで無くしたのかもしれない、」

最近は、自分のことが自分でも分からなくなることがある

私は誰だっけ?

何がしたいんだっけ?

何を感じているのだろうか?

私は、涙が溢れ出して止まらなくなった。

私は、アカリが私の所じゃなくて、別の班に行ったのが悲しかった。つらかった。ぐちゃぐちゃな感情が溢れ出してくる。

私自分の本当の気持ちがわからなくなっていたんだな。

「まゆかさん、これ使って」

空気ちゃんが、ハンカチを渡してくれた。

その時ハッと気がついた

私の名前は、中川まゆか

「ありがとう、さなみさん」

空気ちゃんの名前は、川口さなみ

さなみちゃんは

「まゆかさんって、小川洋太くんに似てるよね、雰囲気とか態度とか、周りに気を遣って、あんまり感情を面に出さないところとか」

「小川くんって昨日部屋の子たちが話してた人だよね」

「そうそう、小川くんも家庭が色々大変みたいだけど、頑張ってる。けど、頑張りすぎて息苦しそう、まゆかさんも無理しすぎないでね、自分の気持ちに正直になってね」

「さなみちゃん、ありがとう。さなみちゃんは強いね、私さなみちゃんとは、本当の友達になれそう」

さなみちゃんは、照れたように笑った。

修学旅行は、いろいろあって終わった。

私とさなみちゃんは、その後かけがえのない友達になった。

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