02-18-20
夜は何処まで歩いているのだ。太陽に飲まれて溶けて、透けて、逃げて、一体何処まで歩くのだ。窓ガラスの向こう。冷えた明日が迫ってきている。カレンダーをめくりたくないし、ドアだって開けたくない。閉め切った部屋からただ全て吸い出して虚無に蹲ったりしたい。その時間こそ僕は生きられる。生きている。人生、義理人情に責任だとか、江戸時代じゃあるまいし、そんなもので僕を縛るなよ。刹那の感情を従わせて僕はやっと生を自覚出来るのだから時間なんか歩かせないで。
五月蝿い、だから僕は言葉を発し続ける。全部掻き消えるまでずっとずっと、何が必要で何が無駄なのかも飽和して、分からなくなるまでずっとずっと。
感情のままに叫べない。だから書き続ける。下手な文字書きも数撃ちゃ作家。どうでもいいから書かせてくれよ。
夜よ、いつまで歩き続ける。願わくば支離滅裂な僕がもう一度、一つになるまで続いてくれ。眠気を跳ね除けて言葉を紡がせて。まだ眠りたくはないから、ただこの指を止めないで。
意味なんか無くていいから僕が僕である証明を。僕が生きている事を示す爪痕を、文字の形に表していたい。ずっとこの時間が続けばいい。がむしゃらに文字を読んでいたいから、夜よ、ずっと歩いていて。
どんな光にも止められないような、太陽にだって抗うような、そんな夜であってくれ、少なくとも今は。
悩みの見えない暗さが好きなんだ。美醜にも鼻の効かなくなる今が心地良いからまだ終わらないで。他に現実逃避を知らないから僕を置いて行かないで。
夜は何処まで歩いていくのか。何処でもいいよ、連れて行ってくれるなら、離さないなら。
夜はいつまで夜なのか。なんでもいいよ、太陽がそっぽを向くぐらいに手を繋いで。何も見えなくなるまで深くあればいい。何にも見たくないから太陽もいらない。
夜は何処まで行くのだ。一緒に逃げようよ。この今が続く為なら何処だって行くから僕を離さないで。泣き言しか言えなくても見放さないで。今なら終わらない気がしているから。文字の羅列がいくら醜くてもさ。
頭なんか冷えなくて良いのにさ。目なんか覚めなくていいのにさ。時間なんか進まなくていいのに、朝なんて来なくていいのに。




