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11-10-19→
まるで来たる明日から逃げているようだ。僕たちは惰性的なドライブを続けた。夜を滑るセダンを止めようともせず、速度を上げれば時間を撒けるとでも言わんばかりの息遣いと共にアクセルを踏む。僕らは世界に怒っていたのだ。漠然とした思春期の鬱憤に似た怒りであった。何処を見てもぶつける宛など無い水風船を抱えたままに、空港に続く山道を飛ばしていく。
星を見たいと僕らの内の誰かが言ったのだった。明日から少しでも逃げ出すという目的の下に、意見は声もなく重なり、束の間の逃避行を始めた。家々を横目に走る。風を切って木々を過ぎ去る。田舎の山道を忌々しげに思いっきり走り抜いては、それでも弾けないこの水風船が憎かった。
僕らは若いのだ。全てが許せないのだ。許し方を知り得ないうちは世界にも許され得ないと知って尚、許そうとも思えない若さを患っている。
分刻みで進んでいく思考の道筋に、何かが見出せるつもりになって生きている。つらつらと物思いを垂れ流して、実りあるものなどあるだろうか。この先にて重みや説得力が宿るとでも言うか。