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07-19-20
ねえ、僕の今は何万字まで描けるだろう。字数制限は記憶を端からぼやけさせる。原稿用紙に虫食いの穴を空けるから、とても危うい今の上に立っているような感覚がするんだ。書き連ねて、字数をカウントしてその積み重ねが現実を安定させるなら、これほどまで奇なる事実は無いと思うんだ。夢も真実と言い張れば真実か。意識すらも無意識と言い切れば僕は夢遊病患者なのか。考えとは違うところで身体がふわふわ浮いているか、若しくはその逆の状態で思考が浮いている。
白い靄が目の奥にかかる。走った筆記体は乾く間も無く溶け出して、ああ現実とは、文字に表し切れなかった記憶が大半を占めていた。
今夜も意識は夢に赴く。全ての消えた文字の行き先。想いと記憶の吹き溜まり。




