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09-16-20
「物書きは自分の世界にのめり込まなければいけない。自分特有の表現が、他者と共有した世界で生まれるわけがないのだ」とは独りぼっちの万年床で考えた台詞だ。僕にしか作れない物がこの辛気臭い六畳半で生まれるなら、申し訳無いが、それは恵まれない子である。哀れにすら思った。
自分を好きになれない。それが自己を形容する際、何処か脳内で必ず浮かぶ台詞であった。褒め言葉すら素直に受け止められない僕には何処か欠陥があるのだと、常々思っていた。今もそうだ。会社の後輩に、「贔屓目に見ずとも先輩はかっこいいです」と言われ、一体誰が悪い気がするだろう。




