表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/47

09-03-20

大いなる揺りかごに揺られている気分だった。酒が抜けていない訳じゃない。乗っている船が海原を加速していたのだ。一番安いチケットに当てがわれた寝室、その窓際のベッドの仕切りを開き、身体を起こして見ればもう光が差し込んで部屋中を照らしていた。そういえば、先程も薄らとモーニングタイム終了のアナウンスを聞いた気がする。

用を足した後に、ふと思い立って髪を縛る。不規則に傾く安定しない船内の廊下を急ぎ足で戻って、買い足した食料品と読みかけの小説をレジ袋に入れた。起きているか分からない同乗人にノック二回だけの合図をし、僕は意気揚々とデッキへ足を運ぶ。


青と藍に景色が二分されていた。雲は見渡す限り一つもなく、柵まで歩けば目下にはヘリポートが見える。静かな空と蠢く海が、どちらも大きな質量を以て視界を占める。

この感動は言葉にしなければ、と僕は携帯を取り出し、忘れないうちにメモをする。

「白波を立てながら船が進む。膨大な水量の波が、各々勝手な方向へ向かうようだが、その浮き沈みをよくよく眺めると、律動を揃えて蠢いており、それはまるで一つの巨大な生き物の脈動だった。これが表面上の活動であり、水面下ではどのような潮の流れになっているのか、どんな生物が潜んでいるのか、想像がつかないところに些か恐怖を覚えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ