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10-13-19

この心と呼ばれる抽象芸術を、芸術と呼ばせたるは持ち主の実力だ。僕はそう思う。文字の意味とその込められた意図の可視化を生業とするのが芸術家なのだろう。文字に表せば至って落ち着いて感じるこの空気感は、現実に於いて僕の鼻息を荒くし、思考を外枠から霞ませ、理解出来ていない僕を時間より早く置いてきぼりにする。身体の感覚を忘れさせさえする。

これが他人も同様に感じ得る事象か、それはどうでもいい事なのだ。重要なのはこの心象をどう書き出し可視化するか、読み取りやすく生み出すかである。

僕は世界を文字に描き出せない。人間が共有しているこの現実を、誰もが脳裏に映し出せるまでに描写出来る語彙力と、センスを持ち合わせていない。これは、他者との共感の欠乏によるもので、僕の感覚はどう工夫しようと他者には感じられなくて、それは即ち、芸術家としての欠陥で。

僕は芸術家になれない。誰にも読み取れない醜悪な心を芸術と呼んで、世界の風穴に一人住むような距離感を孤独と自虐するのみ。

だがしかし、僕は孤独を愛さねばならない。これは憶測でしかないが、受け入れた先に孤独ではない何かが存在する気がしているからだ。この距離感を他人も感じているとすれば、それは僕たちの共通項足り得る。一人たちが一人なりに寄り添いあえる気がしているのだ。だから孤独には独り善がりに定義を与えず、共有する為に、そのまま曖昧にしておく必要がある。共感を呼び得る抽象芸術とするのである。

孤独感という共通項すら否定してしまえば、僕は本当に一人だ。誰も分かってくれないといじけてしまえば真の意味で誰にも分かってもらえなくなり、とうとう独りになる。


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