03-31-20
時間が無限であるように生きるけど、明日死ぬかのように夜を更す。身体の何処か、若しくは心が、熱いのか分からないまま燻って生きるのは若者の特権だ。何が言いたいのか分からないって、素面を気取るのはまだ早いと思うんだ。
僕は未だ彼女に恋をしていた。カフェインを摂った日の夜を寝過ごせずに、何を考えるかと思えば捨てきれぬ恋慕であった。感情をゴミ箱に突っ込んだはずが、下手に扱えぬまま手も触れなければゴミ箱さえ神聖化してしまったみたいで厄介だ。単純な少年のままだから、大きかった感情は心の中で大きく空間を占めて憚らない。
なんだこれは。まんま心の荒れ様を書こうと試みればこの駄文はなんだ。情緒の欠片も無いではないか。大きい感情は大きいなりに慎みを持たねばならない。荒いままに筆を執っても誰にも読み得ない事は分かりきっている。相応の音に乗せて聴くに堪えるよう加工したなら良いが、そういうわけでもない。
大きすぎる感情に萎む時間を与えてみると、心なしか更に膨らんだ気がする。
膨らみに押されて言葉も潰れてしまった。
夜の暗がりは誰もが寝静まって、殊更こいつは煩く鼓動を響かせる。何も見えない闇に浮かび上がるようでもある。
要らぬ存在感だ。心の部屋を占めるべきはこいつではないのに関わらずずっと居座って、なまじ大切にしていただけ下手に扱えない。
こいつを大事にとっておいたところで彼女は僕に振り向くというのか、馬鹿らしい。
彼女は振り向かない。どうしたって届かない。
違う。彼女が遠い僕にとってこの感情こそ、忌々しい事に、彼女と同等の価値を持っているのだ。こいつを大事にすることが彼女を大切にする事と同義になってしまっているのだ。実に愚かしい事だが、認めざるを得ない。




