アチラのお医者さんと妖刀つかい15
ドクター・ヌエロウは両手をふりふり
「なんとかヨウコを取りもどそうと思って、かむのにまで来たんだけど、ほかにこんなのが落ちてるんなら、それでオッケーさ!」
?ヨウコ……坂上さんを取りもどすって、いま目の前に……
「ああ!これは、モノホンのヨウコじゃないよ!オレがつくった『まがいもの』のヨウコさ!――名づけて『フェイク・ヨウコ1(ワン)』さ!」
――まがいもの!?いったい、どういうこと?
「よくできてるだろう?ヨウコの細胞とアチラモノの成分をシャーレの中で、ころころとこきまぜて培養してつくったのさ!いくらアチラモノとサカイモノがなじみやすいからって、こんな芸当できるのは世界にオレだけだぜぇ!すごいだろおっ!
もおiPS細胞もまっさお!ホント、オレってノーベル賞いくつもらっても足んない天才だよねぇ!」
つくるって、そんな人間そのままのかたちを再現するなんてできるの?着てる服もおんなじだし、それに……
「刀は?」
アーティファクトだっていう闇丑光の刀も、そんなに簡単に再現できるものなのだろうか?
「ハハンッ!さすがのオレにも、あの刀の再現は無理だね!刀鍛冶じゃないもん!
――正解はかんたん!実は闇丑光は二振りあるのでした!本物・ヨウコが持ってるのが『松風』、このフェイク・ヨウコが持ってるのが『村雨』。 どっちもウチの家に伝わるそろいの刀さ!よく切れるぜぃっ!
……ここだけの話、実はこのフェイク・ヨウコって村雨の力で制御してるんだよね。ほんとアーティファクトってたいしたもんさ!ああ、ありがてぇ、ありがてぇ」
いかにもふざけた様子で、手をすり合わす。




