アチラのお医者さんと妖刀つかい14
目がさめると、ぼくは体をロープでぐるぐる巻きにしばられていた。
ねぼけまなこであたりを見わたすと、そこは見おぼえのある場所だった。
かむの北の冷凍食品工場跡だ。
ついこないだ来たばっかりなのに、知らないあいだにフラスコやわからない道具・機械がいっぱい置かれて、まるで学校の理科実験室のようになっていた。
そこに立っているのは
「あっ、坂上さん!?」
刀を持ったままつっ立っている同級生の少女は、しかしぼくの声にちっとも反応しない。
さっきいっしょにお茶したばっかりなのに、クールすぎやしないかな?その態度。
「――おっ、目がさめたいかい?ボーイ!」
そのとなりにいたのは、なにやらあやしいおじさんだった。
髪の毛をモヒカン状にしたパンチのある見た目に、診療所でののんのん先生とおなじく、白衣を着ているのがおかしかった。でも、この人だれかに似てる気が……。
「……あなた、だれ?」
ぼくの問いに、おじさんはゴキゲンで
「オレかい!?よく聞いてくれた!オレさまは天才魔学者のドクター・ヌエロウだ!あっ、このドクターは医者じゃなくて博士のほうね!」
「ぬえろう……?あなた、もしかして、あの尼さまの?」
「イエス!怪心尼……蛟子はオレの姉さ!」
そう。だれかに似ていると思ったら、呪宝寺の住職だ。
こんなにうかれた表情をあの尼様がすることはないけど、顔つき自体はとても似ている。
「まっ、おれは家から追放されてんだけどね!みんな、天才の仕事をわかってくんないんだ!」
体をくねくねさせながら、やたらにテンションが高いオトナ。にがてなタイプだ。
「――なんで、ぼくを?」
つづけての問いに、
ドクター・ヌエロウは「なに言ってんだい」と言わんばかりに
「そりゃ、きみがサカイモノだったからさ!まさかハネツキギンイロトカゲを手なづけて歩く人間がいるだなんて、ボクちゃん、おったまげ!!
ヨウコ以上の『性能』じゃないか!あのアチラの医者も、ずっこいよね!こんな良質な素材をひとりじめするなんてさ!」




