表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/428

アチラのお医者さんと猫の王15

 新たな「王」は不快げに鼻を鳴らすと

「ふん!おれはあんなやつを自分の父親とはみとめてないぞ!あいつはオレの母親をいやしい野良猫と見て、家族としてみとめなかった」


 そうか!それでハインリッヒの瞳に王家猫のあかしである輝星紋がうかんだんだな。


「おれはオッドアイで左目にしか輝星紋がないからな。あいつの子だと思われると不愉快だから、ふだんは目を閉じてる……」


 片目を閉じつづけるって、器用な猫だな。ぼくはウインクもうまくできないのに。


「――しかし心外だ。気ままな野良であるこのオレが『王』にならなきゃならんとはな。すべて、この医者がよけいなことを言いに来やがったせいだ」

 にやにやする先生をにらみつける猫。


 わけがわからない。


「どういうこと?セバスチャンの邪魔をするために、あなたが野良猫たちをつかって診療所を襲撃させたんじゃないの?」

 思わずぼくがたずねると


「オレがそんなことをするわけがないだろう?手下どもにも、王選にはいっさい手を出すなと言っていた」


 えっ?どういうこと?


 のんのん先生がコーヒーを飲みながら説明を始めた。

「――きのう診療所を荒らした猫たちは、ハインリッヒの手下じゃありません。からだと毛並みをきたなくして野良っぽくよそおっていましたが、あれらは飼い猫です」


「えっ?」


「野良猫と飼い猫では持っている雰囲気がちがうんですよ。特に、顔にちがいがよく出ます。野良猫にくらべて飼い猫の顔は横に広くなるんです。それに、猫は野良であってもふだんから自分で体をなめて毛づくろいしてますから、見た目がきたないというのは不自然なことなんですよ」


「飼い猫は、のさっと生きてやがるから、まのびした顔してやがる。それに頭も足りねえな」

 ハインリッヒはわらった。

挿絵(By みてみん)

「あれは、伯爵の配下の猫だったんです。つまり『自作自演の襲撃』ですね。闖入ちんにゅうした猫にわたしたちの目をひきつけているあいだに、伯爵が薬品棚からマタタビールを盗んだのです。腎臓薬のそばにマタタビールがあるのを、彼は前から見て知っていましたから」


「なんでそんなことを?」


「それは、伯爵猫が知っていたからです。もし先代王の子であるハインリッヒが王選に参加したら、王の子『ではない』セバスチャンにはとても勝ち目がないことを」


 ――えっ?そうなの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ