アチラのお医者さんと猫の王13
野良猫のボスはセバスチャンとにらみ合う。
ならぶと体格差がはっきりする。セバスチャンのほうがずっと大きいのだ。とても勝てるようには思えない。それこそクスリの力でもないと……。
「「ニャゴアッ!」」
二匹のいななきとともに、勝負ははじまった。
セバスチャンが頭からぶつかり、ハインリッヒがふきとばされた。
(そりゃ大きさがぜんぜんちがうんだもの。こうなっちゃうよ)
しかし、ハインリッヒは怖じることなく立ち上がると
「ニャガアッ!!」
一鳴きすると、その「とじていた」左目をあけた!
なんと、そこにうかんでいたのはセバスチャンと同じ輝星紋だ!
まだら毛全体からピリピリとしたかがやきを放つと、そのながい尻尾が「三つ」にわかれた!
ハインリッヒも猫まただったのだ!
それからは猫またどうし、はげしくぶつかりあった。
そのたびにするどい電気もぶつかり光たばしる。
そのうち、はじめは優勢だったセバスチャンのかがやきがうすくなってきた。
「……ああ、切れてきたようですね」
のんのん先生がぼそりとつぶやいた。
ふらつくセバスチャンの首根っこをハインリッヒはかむと、その巨体を投げ飛ばした。
セバスチャンはもうピクリとも動けない。
「……これで、おれが猫の王だ」
ハインリッヒが宣言する
とともに、周囲を取り囲む猫たちがいっせいに
「「「ニャゴ、ニャゴ、ニャガァッ!!!」」」
大合唱を始めた。
近くの人が出てこないのがふしぎなぐらいだ。
「――これで決まりですね。さあ、あなたがたももうもどったほうがよいでしょう」
のんのん先生が声をかけたかと思うと、
なんだかぼくの体も引っぱられて……
すぅ――っと、まどろみのなかにもどっていった……。




