表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/428

アチラのお医者さんと猫の王11

 診療所への帰り道、先生は歩きながらつぶやいた。

「さて、どうなりますかねぇ……」


 野良猫がついてこないかビクビクしながら、ぼくはわからなかったことについてたずねた。

「マタタビールってなんですか?」


「……猫の強壮薬です。特に化け猫のたぐいが用いると、短い時間ですがその魔力が向上します」

挿絵(By みてみん)

「じゃあ、それをぬすんだのは……」


「ええ、猫の王筋の力に対抗するためです。一種のドーピングですから、王選でつかうのはまずいでしょうがね」


 ハインリッヒは野良猫をつかってそんなものまでぬすんでいたのか。そのクスリをつかってセバスチャンを倒し、自分が王になろうということか?


「さて、今晩の集会はどうなることやら……」


「先生は、その猫の集会に行くんですか?」


「ええ。顔を出すつもりです。どうせケガ猫が出ますからね」

 先生のことばに


「……ぼくも行ってみたいけど」

 と言ってみたが、


 あっさり却下された。

「あなたはだめです。なにせ猫の集会が開かれるのは深夜のことです。こどもは寝ている時間です」


 つまんないの。


「まあ、明日ウチにいらっしゃい。結果がどうなったか報告してあげますよ」


 そう言って診療所にもどると、そこには買い物袋をかかえたヨシノさんがいた。


「……先生、このありさまはどういうわけですか?」

 ほおがピクピク、首がパカパカ、いまにも飛び出しそうだ。


「い、いえ。これはその……窓を開けていたら猫たちがかってにとびこんできて……」

 あわてて背筋をのばして言い訳する先生に、


 しかし

「また窓を開けっぱなしにしていたんですか?あのカラス女がかってに入ってくることがあるから、そんなことがないように閉めておいてくださいと、あたしは言いましたよね。なんですか、それともあのカラスをこっそり引きこむ気だったんですか?」


「引きこむって、こどもの前でそんな言い方……」


 しどろもどろになる先生を見るにたえず

「じゃ、じゃあ先生、それにヨシノさん、ぼくたちは帰ります。さようなら」

 ジェームスとぼくは家にかえった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ