アチラのお医者さんと猫の王3
「しかし、そんな団体が今回の事件に直接かかわっているとは、あまり思えないんですよねぇ」
先生は首をかしげた。
「というのも、そんな団体は昔からしめし合わせて『かむの』には手を出さないものなんですよ。いくら優秀なサカイモノをかかえていようと『しょせん』コチラモノにすぎない彼ら彼女らにとって、この土地は危険すぎますからね。どこもおそれて無理はしないんです」
えっ?かむのって、そんなにヤバいところなの?そんなところにいるぼくっていったい……。
「……まあ、どういうことかわたしも探れることは探ってみましょう。あなたはその少女の言うとおり、安易に近づかないようにしておいてください」
先生がそう気軽なようすでわらっていると、
受付の方でおとないがあった。
「おや?まだ診察の時間ではないんですが……やあ、だれかと思ったら『伯爵』じゃないですか?」
「――ごきげんよう、のんのん先生」
診察室に入ってきたのは、ちょっと高級な感じがする青い毛並みの猫だった。
猫だ。
それが老けた男性の声音でしゃべっているが、ぼくも、もう猫がただしゃべっているぐらいではおどろかない。
「腎臓の調子はいかがですか?」
先生の問いに、
その伯爵とよばれた老猫は
「はい、よろしゅうございます。いただいたお薬のおかげでしょうな」
ぼくは知らなかったけど、猫って年を重ねると腎臓がわるくなりがちらしい。
「――今日は体のことではなくて、あなたに引きあわせたい方がいてね」
伯爵がそう言って、診察室にうながし入れたのも猫だったが……そのからだの大きさときたら!
まるで、ちょっとした中型犬ぐらいある。つややかな黄金の毛足が長いそのすがたは堂々としていた。
「ごきげんよう。貴君がのんのん先生かね?」
若いが、尊大な印象を与える声だ。
「そうですが、あなたは?」
伯爵はうやうやしく紹介した。
「こちらは、セバスチャンさま。次のかむのの『猫の王』になられる方です」
猫の王?なんだ、それ?




