ゴブリンのなぞとき脱出ゲーム3
「ククククク。ちがうぞ、あたしはなぞの怪人Xだ!」
どうやら、なぞの怪人という設定らしい。
ジェーン……いやなぞの怪人Xは、取れかかったつけひげをおさえながら
「キキキキキ。おろかな人間どもめ。よくもこの悪の組織のイミツ基地に侵入したな!基地のありかを知られたからには、オメエらを生きて帰すわけにはいかん」
秘密基地と言いたいんだろうな。……侵入って、招待されたから来たんだけど。
「とはいえ、あたしもオニではない」
鬼じゃないんだ。ツノがあるけど。
「おまえたちに、わずかではあるが生きて帰るチャンスをやろう!」
見得を切ると
「あたしが出す謎に答えて、脱出するのだ。もしそれができなければ、そのときはククク……おまえたちが二度といのいかりを浴びることはないのだ!」
「日の光」と言いたかったんだろうな。
――ああ、そうか。これは、いわゆる脱出ゲームだな。ぼくらがなぞを解いてこの部屋から出ることができたらゲーム・クリアというわけか。前回、遊びを用意するって言ってたけど、ひどく大掛かりに用意してくれたんだな。
ぼくはこういう謎解きイベントに参加するのは初めてだから、たのしみだよ。
でも、となりの少女は
「……なんてひどいやつらなの。これだから、アチラモノはきらいよ」
吐き捨てるように言う。
真顔だ。この子は真面目だから冗談が通じにくいんだよな……まあ、たしかにガスを吸わせて意識を失わさせるとか、やりすぎだとは思うけど。
「あの……ヨウコちゃん。これは遊びだよ。こないだ来たときジェーンが『用意する』って言ってたじゃない」
……と突いて出かけたことばを、喉の奥でとどめた。
「おのれ!とっとと謎を解いて、あなたたちの首をすっとばしてやるわ!」
と盛り上がっている少女に水を差すまねはやめようと思ったのだ。せっかくだから、ヨウコちゃんには設定に乗っかったままで、脱出ゲームのハラハラドキドキを楽しんでもらおう。
ジェーンも
「カカカカカ。威勢だけはいっちょまえのコムスメめ。せいぜいあがくがよい」
と悪役を楽しんでいる。
(小娘って、きみのほうがずっとちっこいよ)
「それでは第1ステージだ。以下の問いにこたえて、てきとうなことばを打ち込め」
画面の下に、4つの問題が出た。
……うーん、いかにもなぞときだなぁ。
ヨウコちゃんは、問題をじっと見ると
「……あたしは、こういう頭を使うことニガテなの。ホウイチが解いて」
「えっ、ぼくだけで?」
「そう。まかした」
最初の勢いはどこへやら、少女はあっさり丸投げしてきた。
まかされてもなあ……まあ、ぼくはもともと謎解きとかきらいじゃないからね。挑戦してみよう。
読者の方もよかったらなぞときに挑戦してみてください。解答は次回に載せます




