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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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アチラのお医者さんとRPG4

 その日もプールでひと泳ぎしたあとのお昼、診療所に向かうと、ヨシノさんがテイク・アウトしてくれたロコモコ丼セットをいっしょに食べながら、おしゃべりに興じた。


 きのう見た「十戒」って映画について、先生が解説してくれる。

 これがユダヤ・キリスト教の聖書に出てくる話だとか、聖書にも旧約と新約があって、この映画は旧約聖書の出エジプト記ってところがモチーフなんだっていう基本的な話から、この映画のセシル・B・デミルって監督は、実は戦前に同じテーマで白黒サイレント映画を作ってるんだっていう話になって。

 それは言偏ごんべんつきの「十誡」って邦題だったんだとか。その古い「十誡」は、現代篇と古代編が交互に描かれる構成になっていておもしろいんだとか。「十戒」は、その古代編のスペクタクル・シーンが評判良かったから戦後になってトーキー・カラー版としてリメイクしたものなんだとか。

 デミルはもともと舞台の演出家で、それを映画の世界……ハリウッドの方が招いたんだとか、「サンセット大通り」って映画に本人役で出てるとか。また「サンセット大通り」に執事役で出てくるエリッヒ・フォン・シュトロハイムって人も、これも映画監督で、この人の撮った「グリード」……貪欲って意味の映画が、またムチャに長いんだとか……。

挿絵(By みてみん)

 いったんひとつの映画についてしゃべりだすと、次から次に他の映画に話が飛んで止まらないので、途中でぼくはわけがわからず、口をごはんでモゴモゴさせながらうなずくだけになる。


 ただ話をしている先生がたのしそうにしてるから、ぼくもなんとなくたのしかった。

 この診療所にはふつうの人間が来ることはめったにないから、のんのん先生もぼく以外にこんな(かたよった)趣味の話をする相手がいない。その溜まったうっぷんの標的になるのも、助手としてあまんじて受け入れなければならない務めなのだろう。

 

 食後のお茶のひととき、興にのった先生が同じくデミルの「チート」っていう映画で主演した早川雪州ハヤカワセッシュウという日本人俳優さんのものまねをしているとき、それらが来た。


「――先生、勇者のご一行です」




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