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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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361/428

アチラのお医者さんとその師匠3の9

scene? フェイド・イン


 アパートの一室。

 布団に横たえられた小さな遺体(のおもて)に、白布がかぶされている。

 枕元には、泣きじゃくる母親らしき女。

 父親らしき男は、妻(と子)から顔をそむけて、あぐら座り。


「――あんた、だまってないでなにか言いなさいよ!あんたがその御大層な修行とやらをしている間に、コウジは死んだのよ!

 なにが『おれの法力でこの子を救ってみせる』よ!あんたがふざけた焚き火をしてる間も、ずっとこの子は苦しんでたのよ!

 最期まで『おとうさんはどこ?』って……かわいそうに!死に目にも会わないで、なにが父親よ!この人でなし!

 あんたなんか、ひとりでかってにえらい行者にでも何でもなりなさいよ!」


 男、まんじりもせずただ虚空を見つめる。フェイド・アウト

挿絵(By みてみん)


scene36……

 峠の一本杉前。目を覚ます少年忍者。


「どうした?トカゲ丸」

 声をかける岩鉄坊に熊猫坊。


「いや。すこし夢を見ていたらしい……」


 異髏紙いろがみ団の急襲に、ばらばらにはぐれてしまったトカゲ丸たち公儀隠密。

 しかし、はぐれる寸前、トカゲ丸の肩にとまるすぐれた小トカゲ・慈英夢巣じえいむすが、岩鉄坊・熊猫坊に平羅国領内で合流する場所を伝えていた。

 そうして、落ち合わせた三人は人知れず一夜を明かしたのだ。

 すでに空は白々(しらじら)としはじめている。


 トカゲ丸はあらためて立ち上がり

「ふむ……ではあれに見えるが……」


「おうよ。平羅平羅城だ」


 この峠からは、平羅平羅城を望むことが出来る。

 天守閣の瓦屋根が朝焼けに映えてまぶしい。


 少年忍者は目をすがめて

「立派な天守閣でござるな……はて?あれらは何でござろう?」


 平羅平羅城とは反対方向。遠景に、やぐららしきものが見える。それも一基でなく、いくつも立っている。


 岩鉄坊

「あれらこそ、平羅平羅城の呪いに対抗するため公儀が用意した櫓よ。ひそかに平羅の領内各地に設置され、呪いに対抗する香を焚いて祓っているらしい。われらの援軍だ」


「援軍?そんなものがあったか……それにしても香とは……」


 たしかに、櫓からは煙が立っている。なにやら、かわった香りが漂ってくる気もした。

(なんだか、おぼえがある香りだが……はて?どこで嗅いだのやら……)


 小首をかしげるトカゲ丸に、岩鉄坊と熊猫坊

「平羅平羅城への侵入は今宵、決行だ。休んで体力を温存しておけ」

「そうそう。少しでも寝て、いい夢を見よう……」


 フェイド・アウト


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