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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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353/428

アチラのお医者さんとその師匠3の1

 処置がすべて終わると、マヨイガの式神は頭を下げて

「ありがとうございました、ぼっちゃんにお医者さま。あなたがたがいらしてくださらなければ、被害は本体あるじにまで広がっておりました」


「「まだ世話せばに、なっだ。ども」」


「念のため、なるべく早く残ったコウモリ、そしてマヨイガに予防接種をしておけ。のんのんならワクチンを持っておる」


「はい」


 お師匠さんが今後の注意を述べおえると、ぼくらはいっしょにマヨイガを出た。


「ムラガリチスイコウモリが病気になったのって……?」

 帰り道、歩きながらたずねると


「そうだ。この街の免疫が落ちたせいだ。アチラモノが病気にかかりやすくなっている。

おそらく、今ごろ各所でさまざまな問題が起きている。そりゃ、のんのんも大忙しだろう」


 なんでだろう?師匠は楽しげな口調だな。

 まあ自分の弟子がてんてこ舞いなのをおかしがるのはともかく、街が大変なことになっているのを茶化すのは、お医者としてどうかな。


「――ほれ、あそこでもひどいことになっておるぞ」

 お師匠さんの指差す先にいるのは……うへっ、さっきの白装束……シロゴヘイたちだ。しかもひとりじゃなく10体以上が群がって、何者かを追いかけている。

 またアチラモノを襲っているのか!?ひどいことして……と思ったら、あれ?あの髭づら……


 あの襲われてるのって、行者じゃない!?


 態度はえらそうだけど、実際に法力も強くて頼りになる術者。そんな彼がシロゴヘイ相手に金剛杖を振り回し応戦しつつ逃げている。よく見たら護法童子……制多迦せいたか童子に矜羯羅こんがら童子も、必死になって襲い来るシロゴヘイたちの攻撃を防いでいる。


「なんじゃ、あいつ?せっかくうまいことしてやったのに、なにをあんなところでからまれておる」


 えっ、お師匠さん、あの行者のことを知ってるの?


「まあな……きのう、仕事のはなしをしたところだ」


 でもなんで!?あの行者さんは人間だよ?シロゴヘイが襲うのはアチラモノだけでしょ?護法童子たちが気に食わないの?


 ぼくの問いに、お師匠さんは

「物霊は、器物に宿らせたままにしとけば狙われん……ふむ、やつらが反応したのは護法童子ではなく、行者が抱えているほうだろうよ」


 かかえているほうって?……そのことばに見直すと……あっ、たしかに行者がなにかを両脇に……って、あれは!

挿絵(By みてみん)



 ふつうパンダとレッサーパンダの着ぐるみをまとったふたごの幼子……ルンルンとレンレンだ!


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