アチラのお医者さんと地下決戦13
四つの影。それは
すでに両眼をあけて三又尾モードに転じた猫の王・ハインリッヒ、
鍋っぽいヘルメットをかぶって大槌をもったブロッケン親方、
息子と同じく自らのオーラによってなした弓矢をつがえたエルフのジョセフィーヌ、
そしておなじみ妖刀・松風を手にした坂上ヨウコちゃんだった……まずい、もうこっちをにらんでる。
それよりも!あんな高くからパラシュートもなしに飛び降りたら、あぶないよ!地面に激突しちゃう!……と思ったら
「エア!」
弓をつがえてさけぶジョセフィーヌに
「ママ!」
下から息子が応じて、同時にたがいに向かって矢を放つ。
エルフ親子の光の矢は空中でぶつかると、爆発みたいに強烈な衝撃波を生んだ。
その衝撃の上向き圧を受けた四名は、落下速度がゆるまって地面に苦も無くふんわり着陸する
……って、口で言ったら簡単だけど、やってることはむちゃくちゃだよ!
おりたったハインリッヒが
「……それで、いったいどいつから死にたい?」
かっこよすぎることばをつぶやくと
「「チュチュウ!!」」
周囲のネズミたちがおそいかかる。
それに対して猫の王は
「ニャゴァッ!」
毛を逆立て青い雷光を放つと、ネズミたちをぶん投げる。
そして、おなじようにおそいくるネズミたちを
グシャン!
大槌で縦横にふきとばすのは、ブロッケン親方だ。
「……あーっ?なんだか久しぶりに持つと、握りがあめぇなあ。もうちょっとグリップを太くした方がよかったか?」
とか言いながら、自分の体より大きい大槌をぶん回している。
いっぽう息子のエアーノスと同じく弓をつかうジョセフィーヌさんの射かける矢は、一度に数十本で、しかもその狙いははずれず複数の敵に突き刺さっている。
数も威力も、エアーノスのそれよりずっとすごい。
「ハハハ、奥方。やっぱしあんたも『むかしもの』だな!往年の血が騒ぐか!?」
親方の冷やかしに、エルフママは
「こんな、もういらないと思っていた野蛮なワザをふるう羽目になるとは……エアーノス!あとでお説教よ!」
さけぶその声に、わざと母親と距離を置いて戦う息子エルフの弓手がふるえている。(かわいそうに)




