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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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アチラのお医者さんとアカカガチ1

「あれ?先生はいないんですか?」

 その日、のんのん先生は往診に行って留守だった。


 ぼくはべつに特別な用事があったわけじゃないけど、このあいだ、スーパーの店長をしてるヒロスケおじさん(おかあさんの弟)がハワイ旅行に行ってきて、そのおみやげにマカダミアナッツ・チョコをもらったから、そのおすそわけをしに来たのだ。

 いつも診療所に来るたびに、ごちそうになりっぱなしなのは、わるいと思っていたから。


「このおみやげ、のんのん先生のところに持っていっていい?」

 とおかあさんに聞いても、べつにわるいとは言われなかった。というか、おかあさんはそんなこと、どうでもよさそうな感じなんだよな。

 いちおう、のんのん先生のことは何度か伝えてあるのだけど、気にとめてないようだ。言っても、次の日には、わすれてしまっている。


 たぶんアチラに関係しているからだろう。

 ぼくがこんなあやしいオトナとかかわってるのに、おかしいと思っていないようで、なにも聞いてこない。だから、ぼくも細かいことまでは言っていなかった。どうせ、オニにおそわれたり、生きた入れ墨をつかまえた話をしても信じてもらえないだろうから。


「あらあら、どうもごていねいに。こどもがこんな気なんかつかわなくてもいいんですよ」

 と言いつつも、ヨシノさんがチョコを受け取ってくれたから安心した。


「まあ、先生が帰るまでゆっくりしてい……こらっ!ティッシュ箱はおもちゃじゃないの。もったいないことしちゃ、だめでしょう!」

 ヨシノさんがするどく言う先には、あのシロタヌキが、うつろな目をしてティッシュ箱からティッシュを何も考えなしに、やみくもに引っぱりだしていた。


 ジェームスのおなかの中からのんのん先生によって救出されて二週間以上なるのにシロタヌキはまだもとにもどらない。

 恐怖のあまりすっかりほうけてしまって、手のかかるこどものようになってしまった。


 ヨシノさんはそのケアにいそがしいらしくて、ぼくにかまっているよゆうもない。ジェームスもおひるね中で、じゃれることもできないし、身の置き場がない。ぼくはすぐに帰ることにした。


「ごめんなさいね、おかまいもなくて……あっ!そうそうホウイチくん」

 ぼくが診療所を出ると、うしろからつっかけすがたのヨシノさんがよびかけた。


「なんですか?」

挿絵(By みてみん)


「わすれてたけど、先生がホウイチくんにおねがいしたいことがあるっておっしゃってたから、またあなたのもとに知らせを送りますね」


「知らせですか?はい、わかりました」

 たぶんまた、紙ヒコーキがやってくるのだろう。

 ぼくは、そのまま家に帰るのもなんだから図書館に寄ることにした。



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