アチラのお医者さんと行者さま6
「……しかしとんでもないガキだな。
その肩の上にいるものは、どうみても貴い存在だろう?そこいらの神社などに祀られているものより、はるかに輝きが強い」
おじさんはつづけて
「仏道の行者としては外法の者にたよるなど気が進まんが、自力ではどうにもならんかったので、ここに来ることにした。腕はたしかだとエリザベートに聞いていたからな。修理できるか?」
ああ、ハンター・エリザベート……ベティーさんの知り合いか。
たしかにあの人なら、のんのん先生のことを悪く言ったりしないだろう。ケンカはするけど先生のファンだから。
「修理ではなく、治療です。それに彼はわたしの助手です。ガキなどと呼ばないでいただきたい」
のんのん先生のことばに、おじさんは
「どっちでもかまわん。とっとと使い物になるようにしてくれ」
ぞんざいな言いかたをされたが、職務に忠実な先生は制多迦童子をじっくり見ると
「……ちょっと深く傷つけられましたね。つなぎなおす必要があります」
そう言って腕を取ろうとするが、赤い童子はこわいのか逃げようとする。
思わずぼくが
「だめだよ、じっとして。治りたいんなら、先生の言うこと聞かないと」
言うと、しぶしぶながら先生に腕をあずけた。
おじさん……行者は、ぼくらのやりとりにいぶかしく
「こぞう、きさまコトノハ使いか!?言霊でモノを縛ることができるのか?」
怒鳴るようにたずねた。
こわいって。それにコトノハツカイって、なにそれ?
「……ぼくは、ただこの子にお願いしただけです」
おそるおそる言うと
「バカを言え!この童子はわしが作ったモノだぞ。わし以外の者の言うことなど、そう簡単にしたがうものではない」
おそろしい顔でにらんでくる。
そんなこと言われたって、聞いてくれたんだからしかたないじゃない。
先生は苦笑して
「あなたがた行者や陰陽師は、頭が固すぎるんですよ。いかに古来のやりくちで象られた物霊とて、そう四角四面なモノでもないでしょう。あるじ以外の者の言うことを聞くことだって、たまにはありますよ」
ことばを添えてくれたが、行者はおもしろくない顔で
「そう言われても、気に食わん。――チッ、だからおまえら天然のサカイモノは好かんのだ。わしらが長年の修行のすえ手に入れたものをあっさり飛びこえよる」
そんなこと言われても。
とはいえ、ここでヘタに口を開くとさらに機嫌を損ねそうだから、ぼくはだまってることにした。




