アチラのお医者さんと行者さま5
三鈷杵のほうの子は、一見ぼくと同じ年ぐらいの少年。
赤い肌が特徴的だ。ちぢれた茶髪を三つに結んだユニークなヘアスタイルに、体に布を巻きつけただけの簡単コーデ。
猜疑心が強そうな目で、こっちをにらんでる。
独鈷のほうの子は、ちょっと年上かな。白くふくよかな顔つきになでつけ髪、同じく体に布を巻きつけた、おちついたお兄さんタイプだ。
「なに、この子たち?かわいい」
かわいいと言われて、赤い子は不満のようだ。口を大きく開けてぼくを威嚇するが、それを白い子がたしなめている。
「ああ、やはりおぬしには『これ』らの霊体が見えるか?」
ぼくに鼻を鳴らすおじさん。
「彼らは、この金剛杵の憑きもの……いや、あなたがたのことばでは護法でしたか?」
先生のことばに、おじさんはうなずいて
「そうだ。『制多迦童子』に『矜羯羅童子』だ。俺が杵に『念』をこめて作った」
――つくった?アチラモノをつくったりできるの?
ぼくはびっくりだけど、ここにいるオトナ二人には常識的なことがららしい。
ふつうに会話が続く。
「ちょっと仕事で妖とやりあったら、こっちの三鈷杵の方の先が欠けてな。モノはすぐに仏具屋に持って行って修理したのだが……」
たしかに金剛杵の先っぽは、壊れたのを修理したからか色が変わっている。
「肝心の霊体がどうも。制多迦の動きが悪くてな」
おじさんのことばに、赤い童子は面目なさげだ。矜羯羅童子がなぐさめている。
「――ケガしているようですね」
先生のことばに
「そうか?さすがだな。わしにはわからんが、おまえには見えるか?」
「――?自分の作ったものなのに、見えてないの?」
思わず出てしまったぼくの問いに、おじさんは不愉快げに表情をいがめると
「そんなことできるのは、きさまらサカイモノの一部のみだ。
わしらふつうの術者は物霊をあやつるだけで、はっきり見ることなどできん。なんとなくいるのを感じる程度だ。
おまえの肩にもなにかおるようだが、細かいことはわからん」
ああ、そうか。ぼくの知り合いって、坂上さんとかハンターみたくガッツリとしたサカイモノが多いから、ついついアチラに関わる人全員、ぼくとおんなじものが見えてるって思いこみがちなんだよな。
呪宝寺の住職も、ジェームスは見えないって言ってたのに。




