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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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アチラのお医者さんと行者さま4

 入ってきたのは、なんていうんだろう?


 山伏?修行僧?

 白装束に頭に黒いの(兜巾ときんって言うんだって後で先生に教わった)をのせて杖をつき、箱(おいって言うらしい)をしょった、よく日に焼けたおじさんだった。


 ぎょろっとした目つきをしていかめしい顔つきだけど、アチラモノには見えない。

 コチラの人間だ。

挿絵(By みてみん)

 そんな人がこのアチラの診療所を訪れたってことは、つまりこのおじさんは坂上さんやハンター、それにぼくとかと同じサカイモノってやつなんだろう……と、かってに思ったんだけど、そのおじさんはぼくとぼくの肩 (つまりそこにのっているジェームス)の方をちらりと見ると


「――ふん、サカイモノか。気にいらん」

 とつぶやいた。


 気にいらないって、どういうこと?あなただって同じなんじゃないの?――と、ぼくは問いただしてやりたかったけど、口にはしなかった。

 だって、ものすごくおっかない顔してるんだもん。その奇抜なファッションといい、街で会ったら自然に顔を背けちゃうタイプのオトナだよ。


 おじさんは先生の方を向くと

「おぬしか?自らを『アチラの医者』などと声高に喧伝する、神仏をおそれぬものとは」


 初対面のものからの失礼な物言いに、先生は少し目を丸くしたけど、気分を害したふうもなく

「……べつに声高に語ったつもりはないですし、神仏もそれなりに畏れてるつもりですけどね。たしかに、アチラの医者などと呼ばれています」


「そうか、ならこいつを直せるな」

 そう居丈高に言いながらおじさんがふところから出したのは、両先がわれてとがった金属製……小ぶりな鉄アレイみたいなものだった。


「――金剛杵こんごうしょですね。先が三つに分かれているのは三鈷杵さんこしょとか言うんでしたか?ひとつながりのは独鈷杵とっこしょとか……」


「そうだ。独鈷はこれだ」

 おじさんが別のも見せてくれた。たしかに先が割れてない。


 そういや前にどっかのお寺で、こわい顔した仏さまの像がこんな道具を持っているのを見たことがあるぞ。ライブ客のペンライトみたいにふりあげてたけど、推しのアイドルを応援してるふうには見えなかった。


「金剛杵はもともとインドの武器だそうです。それが仏教に取りこまれて、煩悩を破壊する法具として使われるようになりました。主に密教の方ですね」


 ふうん。でも今それよりぼくの気になっているのは、そのしょってやつに重なって見える、ちっちゃくってヘンなものたちだよ。


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