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あやしの診療所―のんのん先生とぼく―  作者: みどりりゅう


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226/428

アチラのお医者さんとなぞの玉3の22

 ピーター・パンはウエンディに影を縫い付けてもらってよかったけど、こっちの影は動くこともできずご不満だ。


「あなたはしばらくそこでじっとしてなさい。あなたのわるい手癖のせいで、この世界が崩壊するかもしれませんでした」


「そんな!おれはなにもわるくないよ!わるいのはすきだらけのそこのみどりだよ!だいたい、みどりが持ったままだとややこしいまんまだったろう?おれが盗ったから、世界の危機に先生たちが気づけたんじゃないか?」


「うーん、一見もっともらしく聞こえますが、グリーンたちが持ったままならグレイがとっとと取りかえしてたでしょう。やっぱり、あなたが盗ったからややこしくなりました」


「ソウダ。黒イノガ、ワルイ」


「なんだと、このみどり!調子に乗りやがって。おめえらみたいなのがこの町に来るから悪いんじゃねえか!」


 たがいに責任をおしつけあうカゲとグリーン。そのみにくい争いに、グレイは腹立ち気で

「「だまれ、恥知らずども。――先生、その影といっしょにこのみどりどもも張り付けておいてくれ。一度懲らしめてやらないといけないと思っていたんだ」」


 そして、ぼくたちにあらためて向かいなおすと

「「――今回はわれわれも頭に血が上って、おまえたちに迷惑をかけた。おわびに出前出張ということで腕をふるおう。なんなりと好きなモノを注文してくれ」


 そう念ずると、持ってきた大がかりな道具でなにか用意を始める。


 わけのわからないぼくに、先生がつぶやいた。

「あのリトル・グレイは、この町に来てから日本食の魅力にはまりましてね。いまでは通りで寿司屋を営んでいます。ふだんは人間の脳にテレパシーを送って、自分がいなせな職人に見えるようよそおってね」


 えっ?そんなめんどくさいことしてるの?


 白い割烹着を身にまとったリトル・グレイが、切れ味のよさそうな和包丁を研ぎながら念話する。

「「人間に気取られないようテレパシーを送り続けながら魚をさばくのは、けっこうつかれる。

 今日はそんなことを気にせず、仕事に専念できるのがうれしいな。

 さあ。今日の朝、われわれが自ら市場で仕入れてきたネタだ。なんなと注文してくれ」」


 そう意気込むリトル・グレイに、ぼくが最初に

「じゃあ、キュウリ巻き」

 と言うと、異世界からの移住者はその銀色の顔を悲しそうにゆがめた。


挿絵(By みてみん)


「なぞの玉」編は今日で終わりです。

明日からは続けて「ブラック男爵」編を毎日更新します。



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