アチラのお医者さんとなぞの玉3の15
「あなたがたのせいで、妖魔王の相続がややこしくなったんですよ。魔界全土を巻きこんだ御位争いが起こってしまったんじゃないですか。
あなたがたが捨てた王子のたまごを拾い育てた、あの勇気あるコチラモノの少女の活躍がなかったならば、魔界どころかコチラの世界もとんでもないことになっていました」
なに!?そのおもしろすぎそうな事件!その少女の話、いつか聞きたいなぁ……。
カッコウ夫婦は、つばさをはたたいて
「そう言うなよ、先生。あのおかげで、うちの子たちも王族の教育をちょっとは受けられたんだぜ。すべては親の愛情じゃないか。
それに、あのとき妖魔につかまって処刑されかけたおれたち夫婦を先生が救ってくれた恩があるから、今日はがんばったんだ」
「そうよそうよ」
本当に気が合った夫婦だな。
でも、不安はのこる。
「クロハさんは、いま抱えているのが自分のたまごじゃないと知ったら怒るんじゃないですか?」
ぼくがたずねると、先生は
「それはないですね。おおよそカムノカッコウに托卵されたものは、ちゃんとそのヒナが巣立つまで世話を見るものなんです。彼女にも生きがいが出ていいでしょう」
さらに
「よく考えたら、クロハさんは初めから誤誘導してたんですね。わたしは、カラスならわたしたちの見えないテツオ狼の縞模様が見えているのだろうと、かってに思っていましたが、そもそも彼女なら、テツオのことをほかのオオカミとはっきり見分けて認識していたはずです。それを、わざとはぐらかせて言った。
すこしでも、わたしたちのまちがった探索が長引けばいいと思っていたんですね。わたしは、まんまとその計略に引っかかってしまいました」
自らをあざけるように
「あなたにえらそうに注意したくせに、わたしもぜんぜん自分と他者をべつのものとして考えることができていませんでしたね。まさか、今さら彼女がわたしをだますなんて考えてなかった……」
顔をしかめて言ったけど、その口調はなにもだましたクロハさんをせめるものではなかった。
アチラモノ……いや、他者とのつきあいはそういうものだと、のんのん先生はわりきっているのだ。




